中国:温家宝首相の趙紫陽コメント、新華社が削除

【大紀元日本3月23日】中国の温家宝首相は3月16日、全人代を取材した内外の報道関係者との記者会見で、仏紙「ル・モンド」の記者が問いかけた趙紫陽・前総書記に関する質問に対しての応答内容が報道直後、新華社により削除された。中国大陸のその他のネットサイトも相次いで同内容が削除されたという。

仏紙の記者が質問した内容の前半は、温首相が少し前に人民日報で発表した「社会主義初級段階の歴史任務と我が国対外政策についての諸問題」と関連していた。同記者は質問の続きに、「最近香港で出版された趙紫陽・前総書記に関する書物の中で、趙総書記が、中国がもし、現代化を実行するなら、台湾のように民主政策を実施しなければならないことに言及した。台湾は過去において、一時独裁統治を経験しており、現在では民主および多党制の政治を行っている。趙・前総書記の提言について、なにかコメントはないか」の質問に対して、温首相は「香港で出版したその本の内容と自分の観点とは一切関連していない。自分もその本を読んだことはない」と回答した。

上述報道内容が削除されてから、西側メディアは強い関心が寄せた。AP通信社3月16日の評論によると、中国官製メディアの報道において、これまでに中国共産(中共)党改革派指導者、趙紫陽・前総書記に言及することは殆んどなかったという。

前山東大学の孫文広教授は20日に同通信社の取材に対して、温首相の回答内容には特に何も触れなかったし、趙・前総書記の味方にもしていなかったが、関連する応答内容が素早く削除されたことは、中共が趙・前総書記、六四天安門事件の問題に対して敏感になっていることが分かるし、中共当局が真相暴露を恐れており、また当局政権の虚弱を表しているのだとの見解を示した。

孫教授は、中共指導層における両派間の闘争が激しく、江沢民派は特に敏感の話題が気になることから、応答内容が削除された指示は温首相からではなく、江派勢力からの指示の可能性が高いと分析した。

一方、「動向」誌の張偉国・総編集長は同通信社に対して、温首相は記者に対する回答は受身的な回避態度を取っていることから、本人が直面している圧力は相当に大きいとの見解を示した。さらに、2回の全人代大会前後、本人が樹立しようとする人物像と政治地位が実際現状との不一致を特に表していると指摘した。

実際、最新号「動向」誌では温首相の立場について次のように述べている。「陳良宇・前上海市委書記が失脚した後、胡錦濤・総書記は闘争の矢を中共中央政治局常委、黄菊・國務院副總理、賈慶林・全國政協主席へ向けた。江沢民は『黄、賈両氏を倒すためには、温家宝を交換条件にすべき』とした。権力闘争の激化、温首相はまな板の鯉のように、何時でも権力闘争の犠牲品になるのだ」という。

温首相は2004年に不動産価格調整を行った後、権力闘争の荒波の先頭に立たされた。陳良宇・前上海市委書記は率先的に温首相に対して挑発し、不動産価格の調整は、江蘇省、浙江省等東部地域都市、特に上海の発展に悪影響をもたらし、全国に波及したとし、温首相と内閣一行に対して、不動産価格調整を続ければ、それによる経済発展損失の政治責任を追及すると警告した。

一方、「動向」誌は、曾慶紅氏と温首相の間の溝が深いことにも触れた。曾氏は最初から温首相の下におり、全人代常任委員会に入っても温首相の下に位置していることが氏にとって、もっとも気に入らないことであるという。2004年7月の温首相を倒す嵐の中で失脚させ、その位置に取って代わりたいのも曾氏であるという。

張・総編集長は、民衆に歓迎され、清廉で公正な官吏を志した温首相のような細心で頭が切れる者も、自分の本心を表すことができないことから、中共の制御機制の邪悪さを覗き見える。良知願望を持っている者はすべて中共という機械に束縛され、党の利益と規律に制約されると指摘した。温首相は末世の良い臣下のようで、国家が滅びつつあると知りながらも、決別できない心情であろうと分析した。

(記者・辛菲)
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