流れ弾で負傷、マカオ労働者デモ

【大紀元日本5月5日】マカオで5月1日、労働者2千人余りがデモ行進した。デモ隊が途中から行進ルートを変更したことにより、一部の参加者は地元警察と衝突し、負傷者が多数出たという。マカオ司法警察局は、警察は銃を空中に向かって5発の威嚇射撃し、流れ弾に当たった男性(50)から警官の持つ38口径の銃と同様の銃弾が取り出されたことを明らかにした。

報道によると、

行進するデモ隊(TED ALJIBE/AFP/Getty Images)

マカオ大学マカオ研究センターの楊允中・代理主任は、今回のデモ事件はマカオ特区のイメージを損なったため、ダメージを早急に埋め合わせる必要があるとした一方、デモ隊に対して、「デモ行進することは公民の基本権利である。しかし、政府が前もって用意した行進ルートを遵守しないことは、如何なる国においても現実的ではなく、理性的ではない」と指摘した。

マカオ特区政府は5月2日に、デモ行進中にルールを守らない参加者に対して譴責し、警察側は適切に衝突を対処したとし、マカオの安定を意図的に破壊する者に対して追及すると表明した。

デモ参加者を取り押さえるマカオの警官ら(TED ALJIBE/AFP/Getty Images)

これに対して、マカオ立法会の区錦新・議員は、警察側の処理の不適切があるから衝突が起きたと反論した。区議員は「警察は意図的にデモ行進中に、リーダー格の者を強制連行しようとした。すなわち、民衆は警察と衝突していない状況下、リーダーを連行し、必要でない状況下で発砲したから、衝突を激化させたのだ」と非難した。

*不満募る労働問題

実際、マカオの失業率は6・8%に達した2000年当時、労働組合は2ヶ月間で4度ものデモにより、当局と衝突が起きた。昨年のメーデーでも数千人の労働者がデモを起こし、当局に対して、海外からの労働者の流入を停止するよう、不法就労者の監視管理を求めたが、当局は一向に改善しなかった。そして、今回はこれらの改善のほか、家賃や不動産の高騰を訴え、政府に対して、汚職腐敗を取締り、何厚●(ハー・ホウ・ファ)行政長官の辞任を求めた。(●=金+華)

マカオ大学の余永逸・助教授は、「政府は人民の問題を解決していない上、経済環境の発展は一部の労働者にとって、享受すべき利権も与えられなかったことから、労働者は政府に対する不満が募る一方の末、今回の行動になった」との意見を示した。

前出の区議員は、マカオはここ数年間、労働問題が絶えず、汚職腐敗や官民結託などの不正行為が頻発することは、何・行政長官自身の責任は逃れることはできないとし、実際、マカオの民衆は何・行政長官に対して、マカオのこれらの問題を解決できると信用に足る人は殆どいないと指摘した。

区議員は、今回のデモ事件は一国二制度に対する試練であるとし、「香港の一国二制度は2005年の基本法による官民衝突の下、当時の董建華・行政長官は辞任した。マカオも同じ結果を辿ったら、一国二制度は嘲笑われてしまう。従って、中央政府は何としても、何・行政長官を守ると思う。問題は、一国二制度はマカオが今抱えている問題を解決できないのが現状である」と分析した。

東方日報によると、多くのデモ参加者は攻撃の矛先を何・行政長官および特区に向けていることから、当局は背後にはマカオ勢力の争いや、第3回特区行政長官選挙への影響、一国二制度の崩壊を狙うなど複雑な要素があると報じた。

これに対して、前出の楊・代理主任は、今回のデモは如何なる動機の可能性も排除しないとし、マカオ社会全体が強い関心を寄せるべき前提の下、香港メディアはデモ行進手段について公正かつ客観的な評価基準を示すべきとし、香港メディアの報道は偏っていると非難した。

一方、警察が逮捕した10人のデモ参加者は、検察院へ書類送検された。これに対して、デモを発起した地元の6つの団体は、警察側は職権を濫用し不用意に発砲したことから、官民対峙事件が起きたとし、当局の言い訳は断固として受け入れないと当局に対して強い態度を示した。

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