【季節のテーブル】豆腐を食して「ユリシーズ」
【大紀元日本6月10日】物覚えの悪い小僧さんが、買い物に出かけました。豆腐の日の6月12日に祝って食べるためにです。「豆腐、とうふ、トウフ」と言いながら歩いていて、思わず石につまずきました。やれ!どっこいしょと言った途端に,豆腐はどこへ、やら?辿りついた店先で「どっこいしょ、一丁」下さい・・・という顛末になります。落語『どっこいしょ豆腐』です。これはユーモアの旅です。
豆腐は、奈良時代に遣唐使が伝えたといいます。天明2年(1782)に『豆腐百珍』(百種類の豆腐料理)が刊行されて、豆腐人気を不動のものにします。著者はその名もずばり、酔狂道人何必醇(すいきょうどうじんかひつじゅん)という、何やら曰く言い難いネーミングの趣味人でした。江戸時代の趣味人は、途方もない大学者といったところです。とても高尚な?今は失われた江戸趣味の大家たちの努力が、日本の食卓に豆腐を定着させました。
1904年6月16日にダブリンで起こった出来事を、ジェームズ・ジョイスは『ユリシーズ』という実験的な作品に仕上げました。ユリシーズ一冊があれば、たとえダブリンという町が滅んでも再現できるのだそうです。意識の流れをメインテーマにして挑んだ、20世紀文学の金字塔といわれる小説です。たった一日に、膨大な記憶のストーリーが畳み込まれています。
とある日に買って来た『どっこいしょ豆腐』を肴に、記憶の人の書『ユリシーズ』をひも解きました。物忘れと記憶のストーリーが、がっちんこしてお外はジューン・ブライドになって嫁ぐ花嫁が、絹のように真っ白に輝いて鬱陶しい梅雨の暗雲を払い、それはそれは美しい水無月(6月)の空が広がりました。ですからニホンのみなさん、朝の食卓に豆富をお忘れなく!お豆腐は物忘れの特効薬です。
(イザヤ・パンダさん)
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