中共政権脅かす五輪豚

【大紀元日本10月7日】中国では最近、感染病の流行による豚肉価格の高騰で、消費者物価指数(CPI)が過去11年で最大の上昇率を示し、中国民衆のあえぎ声が聞こえてくるようだ。

民衆の怒りにさらに追い打ちをかけたのは、感染した豚が大量に市場に出回っている現状がメディアで明らかにされながら、中国共産党(中共)政権は、高価で、高級な「五輪用の豚」を特別に飼育し、外国人や五輪選手らに提供するとしたことだ。

有名な社会経済学者の程暁農博士と中国陝西テレビ局経済情報番組の元編集責任者の馬暁明氏の両氏が10月3日、本紙の取材に応じ、中共の制御はもはや効果がなく、問題解決は不可能であるとした。物価高騰は中国人民の生活に影響を及ぼし、不満を増大させていることから、今月中旬に開かれる第17回中国共産党大会や来年の北京五輪にマイナスの影響を与えるであろうと話した。

豚肉価格が急激に高騰し、大陸メディアは、感染した豚が密かに市場に出回っていると報道した。中国北東部の吉林省の住民が本紙に明らかにしたところによると、吉林周辺には、7月から大量の感染豚が入ってきており、「安全な豚肉は、ほとんどなく、市場にある豚肉は感染豚のものである」と明らかにした。

住民の話では、国慶節の10月1日には、吉林省の主要都市では、豚足や人気のある安価な肉製品すら手に入れることができなかったという。

精肉店主の中には、腕が原因不明の皮膚病にかかっている者がいるという。皮膚の色が赤くなり、白い斑点ができるという。感染した豚を売った際に皮膚病になったと考える者もいる。

業者の倫理観、「抗生物質が効かない病気」

馬暁明氏によると、感染豚の話題が民衆の間でよく取り上げられるという。処分され埋められた感染豚を土中から掘り出し、市場にだす者がいるという。生肉は問題があると考える消費者がいるので、加熱処理を施してから売る者もいるという。

馬氏は「この夏、友人が養豚場に案内してくれた。大量の医薬品が並べられていた。養豚場の人は、もうけが限られており、大規模でやれば、さらにもうけが少ないと話していた。感染病が蔓延しているからだ」と述べた。

さらに「事態を悪化させているのは、感染病対策としてあらゆる抗生物質を大量投与したため、病原菌に抗生物質が効かなくなったことだ。悪循環である」と語った。

効果がない対策規制

こうした状況に対する中共の対策については、馬氏も程博士も、現状の規制は効果がないとしている。

馬氏は「豚肉価格は、西安で急激に上がった。1キロ7~8元だったのが、21元にも跳ね上がった。民衆は不満を抱いている…中共政府はこの問題に対処するため一連の方策を採用したが、物価上昇のコントロールには効果がない。温家宝首相が7月から多くの方策を取ったが、効果は現れていない」という。

程博士は「中共政権は、市場に3万トンの豚肉を投入することでいかに問題解決につながるか、鳴り物入りで宣伝するが、実際の効果はなく、宣伝効果だけのものだ。数字のマジックで人民をだまし、社会不満や不平を収めたいというのが中共の狙いである」と指摘した。

程博士によると、「都市部では、高所得層や中所得層の30%は、豚肉が高騰しても気にしないと思われるが、民衆の大半を占める低所得層に大きな痛手となる」という。

「低所得層は、すでに中共政権に多くの不満を抱いている。豚肉価格の高騰で、その不満はさらに増大している。通常、党大会前には、中共政権は「団結」や「進歩」「調和」などの雰囲気を醸し出すようにしているが、不幸にも、今回の第17回党大会は、豚肉の高騰に直面した。党大会に向けて人民は不満を露わにするだろう。こうした事態は、中共が一番望まないものだ」と程博士は続けた。

また、程博士は、北京五輪前に食料品物価が上がると、低所得層にさらなる影響を与えると指摘した。国家としての対面を保たなければならない北京五輪について、人民はさらに不満を抱いている。人々の生活はさらに苦しくなる一方で、政府は対面を保つために浪費する、これがさらに不満を醸成するという。

「オリンピッグズ(Olym-pigs=五輪豚)」= 特権階級のための食の安全

中国製品の安全問題について国際的な圧力が高まる中、中共政権は、来年の北京五輪期間中、外国人や選手用に安全な、高品質の食肉を特別にコストをかけて飼育することをメディアに明らかにした。養豚業者らは、「国家的事業」として光栄の至りであるとメディアに語った。

中共政権の狙いは、こうした情報を出すことで海外の人々を安心させることだ。ところが、それは同時に中国人民の強い反発を生み出した。

程博士によると、「五輪豚のような、高品質の商品を作るシステムは昔からあったが、中共の高官のためだった。五輪豚のニュースは、中共高官の食の特権を明らかにしたようなものだ。こうした農家は北京に昔からあったし、新しいものではない。五輪のために拡大されただけだ…国際社会に表面的に喜ばすだけの中共政権は、食の特権の存在を無意識に明らかにしたのだ」という。

馬氏は「五輪豚の存在自体が、中国の食の安全問題が深刻であることを証明している。中共政権は、食品問題を解決する自信はない。人民の日常生活などより、対面を保つことだけに四苦八苦している」と指摘し、「さまざまな事件があきらかになってくるにつれて、中国のあらゆる問題が中共政権により生み出されているのがよくわかるだろう。人民の不満が中共政権の崩壊を加速させるだろう」と語った。

(記者・辛菲、翻訳/編集・月川)
関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]