【ことばの豆知識】♪勉強しまっせ、引越しの○○♪

【大紀元日本12月20日】もう10数年前になりますが、♪勉強しまっせ、引越しの○○♪というCMを見て、日本に来て数年になる中国人の知人が、「何を勉強(学習)するの?」と聞いてきました。

中国語の『勉強』ということばは、孔子の孫・子思が著したとされる『中庸』にすでに見られ、読んで字のごとく、「強いて勉める」ということでした。何事かを懸命に行うということです。その際、能力や条件が不足していながらも懸命にやれば、「やっとのことで」ということになるし、他の人から懸命にやるよう強いられた場合は、「しぶしぶ」ということになります。現代中国語も基本的にはこの意味を引き継いでいます。

一方日本語も、古くにはこれらの意味で使われていたのですが、現代では一般的に「学ぶ」という意味で使われます。両者は一見無関係に見えますが、「強いて勉める」対象が学問や技術の習得であった場合、それが正に「学ぶ」ということになります。この用法は明治のころから広く使われるようになったようですが、現代では【学問や技術の習得】に強いて勉めることに限定された結果、「学ぶ」義に特定されたものと考えられます。

では、冒頭の「勉強」はどう考えればいいでしょうか?これは商人が「商品を安く売る」ことですが、これも「強いて勉める」義からの派生だと考えられます。儲けを考えたらとてもこれ以上まけることはできないのだが、お客さんのために「強いて」安くしました、という気持ちが「勉強」ということばで表されたものと考えられます。

つまり、現代日本語の学校の「勉強」も引越し代の「勉強」も古代中国語の「強いて勉める」義でつながっていたのです。ただ、現代中国語では、「商品を安く売る」義にまでは派生しなかったということ、そして、日本語としては「勉強=学習」しか知らなかったということから、私の知人にはこのCMがよく理解できなかったのです。

(智)

関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。