チベットで「初」の新型感染死亡者を確認 60周年祝賀で、感染死発表を隠ぺいか

【大紀元日本10月9日】チベット自治区衛生庁は6日、自治区内で新型H1N1型ウイルス感染者の死亡が確認されたと発表した。中国国内での新型インフル感染による死者は今回が初めて。一方、2・1万人以上の感染者数に対する0・0047%の死亡率は低すぎであり、政権60周年祝賀行事に配慮して死亡者の発表が隠蔽されたことも指摘されている。

中国疾病予防制御センターが確認した今回の死者は、チベット・ラサ市墨竹工卡県の女性(18)で、10月3日、咳、喉の痛み、全身のだるさを訴え、同市の墨竹工卡県人民医院に入院した。患者は当時40度の高熱を発していたため、病院側は抗ウイルス剤で治療を行なったが、翌朝、病状が悪化し死亡した。

一方、同日の中国当局官製メディアの報道では、北京でも新型インフルに感染し慢性閉鎖性肺疾患(COPD)との合併症患者が危篤状態に陥っているという。

中国当局が発表した数字では、国内の感染者は2・1万人以上。今回のチベット患者が初めての死者であれば、死亡率は僅か0・0047%で、世界保健機関(WHO)が9月に発表した世界の平均死亡率の1・3%と比べてはるかに低い。

台湾当局が発表した最新情報では、台湾で入院した新型インフル感染者は292人、死者17人で、死亡率は約5・8%。香港の場合は、感染者が2万6千987人、死者23人で、死亡率は0・85%である。

チベットでの新型インフル感染死は、10月1日の政権60周年祝賀がすでに完了した後であり、死者が出たという報道は政権の安定維持に影響を与えないため、発表を許されたのだ、などといった書き込みがネット上で飛び交っている。

中国国内では8月より各地ですでに新型インフルの感染が大学や小中高等学校で広まっている。当局が情報封鎖しているために正確な数字は分かっていない。しかし、民間では感染者数や死亡者数が口込みで伝えられている。

中国の経済誌「財経」の報道によると、報告されていない新型インフル感染者数は、報告された数より遥かに多いと、匿名を希望する専門家が見解を示している。

東北部の大慶市のある学生は「母は市の予防制御医院に勤めており、新型インフルの感染は深刻だと言っている。政府の60周年の祝典があるから発表できなかったが、そのうち一気に出てくるだろう」と記者に情報を洩らした。

北京のある教師から寄せられた情報では、北京郊外のあるフライトアテンダント養成学校では、感染状況がひどく、すでに2人が死亡したという。

一方、中国衛生部によると、9月23日時点で、中国での新型インフル感染者は8月末に比べ約1万人増加しており、感染地区はほとんどが内陸だという。

情報筋によると、中国当局は各地域に対して、新型インフル感染者は一般の季節性インフル感染者として処理するよう通達しているという。

実際に、地元の新型インフル感染者は一般の季節性インフル感染者として治療されており、新型インフルを治療するワクチンは存在せず、季節性インフル用のワクチンも患者が実費で接種している状態だ、と広州市疾病制御センターの関係者は語っている。また、新型インフルの感染が確認されても隔離せずに、一般の治療しか行なっていないことも証言している。

江蘇省無錫市のある市民は、地元の新型インフルの感染が深刻化し多くの学校が休校しているが、当局は感染防止措置などの知識や情報を市民に伝えていないと不安を表している。

湖南省の伝染病医院のある医師は、長年の臨床診断経験から、現在の新型インフル感染の情況は極めて深刻であり、中国では来年、少なくとも1千万人が新型インフルに感染すると予測している。

中国当局政権樹立60周年式典のために、一部の地方にあった新型インフル治療用のワクチンは、すべて北京へ発送されていることから、一旦感染が広まったときの各地での対応が懸念される。

(翻訳編集・余靜)
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