大幅な切り上げは輸出企業を打撃=中国各紙社説

【大紀元日本6月24日】「人民元弾力性を高める」と中国人民銀行(中央銀行)が発表した声明を受けて、「中国証券報」及び英文紙の「チャイナ・ディリー」は21日にそれぞれ社説を発表し、中国の輸出業者は人民元の大幅な動きに耐えられないとの懸念を示した。

国内最大の金融経済紙である「中国証券報」は社説で、外需の変化を「予測するのが難しく」、今年下半期に中国の輸出は欧州主権債務危機の影響で再び低迷するだろうと予測。人民元を大幅に切り上げる上に欧州債務危機の拡大を加えれば、輸出にとって「二重の打撃」となるとの考えを示す。同紙は「5月の貿易黒字が急速に拡大したことで、欧州債務危機の影響を無視してはいけない」と警告した。

一方、「チャイナ・ディリー」は社説の中で、「中国人民銀行が人民元の弾力性を高めるとの方針を打ちだした以上、中国経済はもはや輸出に頼り続けることができなくなるだろう」と示した。外需が依然として低迷しており、国内労働コストが上昇する傾向が強まりつつある中、人民元の切り上げで中国の輸出企業がより経営難に陥りやすくなると指摘した。

4月2日付「経済参考報」によると、商務部と工業信息部が3月下旬に合同で、国内12業種の大中小、国営と民営の輸出関連企業1千社に対して人民元切り上げ圧力の調査を行った。その結果によると、人民元が短期間に3%切り上げられた場合、家電及び携帯電話などの製造企業の収益が50%減となり、紡績やアパレル企業、または日常用陶磁器生産企業への打撃は「深刻だ」という。

同紙によると、中国国際貿易促進委員会(CCPIT)の張偉・副会長は人民元の切り上げは中国労働密集型輸出企業にとって「その結果は災難的であろう」と警告したという。

中国人民銀行が19日に声明を発表した後、週明けの21日に発表された人民元基準レートは1ドル=6.8275元で、18日と同じ水準だった。22日の基準レートは1ドル=6.7980元で、前日比0.43%上昇した。2005年7月に切り上げ実施後、初めて基準レートの最高値を更新した。一方、23日の基準レートは1ドル=6.8102元と発表された。

一方、中国国営通信社「新華社」は22日に、『欧米諸国の人士は中国人民元改革を誤読してはいけない』と題する記事の中で、「人民元の弾力性を高める」というのは、人民元の切り上げ、特に人民元の大幅な切り上げを意味しているわけではないとの考えを示した。政府系の「人民日報」も21日の報道で、同様の考えを示した。

(翻訳編集・張哲)
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