不正を報道で、指名手配も 記者、中国でもっとも危険な職業か

【大紀元日本8月11日】7月28日、南京市住宅密集地で、全市で揺れを感じるほどの特大ガス爆発事件が発生し、人々を驚かせた。現場に駆けつけ、生中継の取材をしていた地方TV局の記者が、その場にいた政府官員に「誰がお前に生中継していいって言ったのか」と叱られる場面がテレビに流され、当局の報道規制の姿勢に民衆が驚いた。

取材した記者・王吉強さんが所属するする江蘇省衛星放送局の都市チャンネルは、その後上級機関から厳しい批判を受けたようだ。

最近、中国の記者の間で、緘口令が敷かれたり、指名手配を受けたり、取材を阻止されたりすることが続けざまに発生している。王記者が取材阻止に遭った同じ日の7月28日、経済観察新聞の記者・仇子明氏が、ある企業の株売買の裏事情を報道したことで、企業所在地の公安局によってネット上で「指名手配」を通告された。更に同じ日、第一財経新聞と中国青年新聞の記者二人が、中国最大の金鉱採掘企業「紫金集団」の有毒廃水流出で福建省と広東省の広い地域が汚染された事件を暴いたことで、その家族がともに不可解な交通事故に遭ったことも伝えられた。

良識や真実への忠実を職業にすることで「無冠の王」とされる記者らは、中国社会の中で劣弱な集団となっているようだ。最近、中国のネットで広まっている言い方によれば、中国の記者は鉱山労働者に次ぐもっとも危険な職業である。

7月28日の一日に起きた3件の記者への報復事件に、ネット利用者は「今日は、記者の厄日なのか」と当局の報道規制に怒りを表した。その二日後の7月30日、毎日経済新聞社が、報道で取り上げた企業からひどく罵られ、公務妨害を受ける事件が発生した。

毎日経済新聞は、化粧品大手・覇王企業のシャンプーに発ガンの恐れがある物質が含まれていると報道した。7月30日午後4時ごろ、覇王の従業員を名乗る4人の男が無断で新聞社の上海支社に乱入してきた。新聞社側が対応しようとしたところ、男たちからひどく罵られたり小突かれたりした。その後、覇王は4人の男は自社の従業員だと認めた。

ネットで「指名手配」された経済観察新聞の記者・仇子明氏は、浙江省の株式会社・凱恩の株管理者が国有資産を横領したことに関わる一連の裏事情を摘発したことで災いを招いた。7月27日、浙江省遂昌県公安局から「企業の商業名誉を誹謗した」として、「指名手配令」が出され、全国で指名手配されていた。事件が暴かれた後、世論の影響を恐れて、7月29日、遂昌県公安局は指名手配令を撤回したが、記者の間では不吉な陰影が払拭されることはなかった。

第一財経新聞の記者・卲芳卿氏は、中国青年新聞の記者・陳強氏と共に、紫金鉱業集団の汚染事件を報道したが、紫金鉱業は「口止め料」によって記者および新聞社に、事件関連の報道をしないよう食い止めようとした。7月27日に、二人の記者の家族がそれぞれ不可解な交通事故に遭った。

卲記者はミニブログで、「この2件の交通事故がまったくの偶然だったことを願っている」とつづった。毎日必ず自分のミニブログに書き込みを残すのは、自分が今は生きていることを証明するためだと卲記者は書いている。

(編集翻訳・小林)
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