「カダフィは嘘つきだ」 リビア市民、中国国営メディアの歪曲報道に反論

【大紀元日本3月30日】「カダフィは嘘つきだ」を意味する中国語で書かれたプラカードが27日、香港の鳳凰ネットで公開された動画に映っていた。それだけではない。「フランスに感謝」「ロシアと中国はリビア人を代表しないで」とも中国語で書かれていた。

リビアの民衆も中国当局の姿勢や中国の国営テレビCCTVの作為的な報道を警戒し、自らの声を直接中国の視聴者に分かってほしかったのだろうか。その中国当局は国連安保理のリビア上空飛行禁止区域の設定などの措置に反対票を投じなかったものの、その後の多国籍軍による空爆を「人道主義の看板で攻撃」「石油狙いだ」と痛烈に非難している。CCTVもまたその論調をとり、「カダフィ大佐が率いる政府軍はすでに攻撃をやめているのに、多国籍軍は空爆をやめない」とカダフィ大佐を庇護する報道をし、「フランス、万歳」のプラカードを持つ民衆がカダフィ政権の支持者だと嘘の情報を流し、政府軍銃撃による負傷者を多国籍軍の空爆によるものだとするなど、事実を改ざんした報道を続けている。

CCTVの一連の報道の信憑性を問う証拠もいくつか出ている。ラジオ・フランス・インターナショナル(RFI)26日の報道によれば、「空爆による一般市民の負傷」の報道にCCTVが使った映像は、カダフィ政府軍がベンガジを攻撃したときの映像であり、その事実をごまかすために音声を消去していた。また、映された負傷した市民の映像は、中東のテレビ局・アルジャジーラがベンガジ市内にある病院から送り出したものだという。この映像に対して、リビアのネットユーザーから、空爆によって死亡した人がなぜ体中に弾丸の痕だらけだろうかとの書き込みもあった。

また、同じ写真について国営メディア新華社は全く違う報道をしている。右側はロイター通信の報道で、「19日、反体制派女性市民はカダフィ政府軍のベンガジ撤退を祝い、空中へ発砲」と写真説明

(スクリーンショット)

しているのに対し、左側の新華網の報道では、「カダフィ政権は20日から武器倉庫を開放し、すべてのリビア人に武器を提供し、リビアの石油をアメリカやフランス、イギリスなどの反リビア国家から守る」と注釈している。

一方で、CCTVの現地記者はCCTVのニュースキャスターの誘導に乗らず、リビア情勢の真相を伝えたことも話題になっている。キャスターは「空爆で40人以上の市民が亡くなっているのか」と聞いたところ、邱永崢・記者は「爆撃されているのはほとんど軍用車。民用車も何台か見られるが、政府軍が民間人を装い、民用車を使うこともある」と答えた。さらに、キャスターは「民衆はみな政府軍を支持しているでしょう」と聞くと、邱記者は「私が取材した市民はみな多国籍軍の関与を支持している」と答え、キャスターは慌てて電話中継を中断したという。

中国の外交部は22日、「リビアの一般民衆の安全を憂慮して」各国に対して空爆をやめるよう呼びかけた。しかし、同じ日に、政府軍がミスラタを攻撃し、多くの市民が犠牲になったとロイター通信は報じている。このミスラタという都市は一週間前から、食品や日用品の供給が絶たれ、多くの市民が命の危険にさらされているにもかかわらず、中国政府が「一般民衆の安全を憂慮」したことはない、とRFIは指摘した。

中国政府のカダフィ政権への庇護は、中国政府が自らの政権安定を脅かす要因に常に警戒していることを示している、とロイター通信は前中国誌・氷点の李大同編集長の話を引用して分析した。「中国政府は、人権と民主への要求が国の主権以上に重要だという認識に脅威を感じており、そのような考え方になんとしても対抗しようとしている」と李氏は指摘した。

(翻訳編集・余靜、張凛音)
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