悪化し続ける水環境と生態バランス 長江、危機に直面

【大紀元日本4月26日】中国水利部は、水災害の激化、水資源不足、水環境の悪化と水生態の不均衡の4つの水問題が、すでに中国の求める持続可能な発展にとって脅威となっている、という認識を示した。ラジオ自由アジア(RFA)が報じた。

18日、中国水利部・胡四一副部長は「長江論壇」上で、洪水の防止、水資源不足の解決、水環境と水生態の改善は、すでに中国の水利インフラ建設において長期的かつ困難な任務であると発言した。中国では、1人あたりの使える水量が少ないうえ、水資源の分布もまばら。加えて社会経済も急速に発展していることから、水資源開発は巨大な挑戦に直面しているという。

胡副部長がまとめた水問題は、次の4つ。まず第1に「水が多い」、すなわち洪水が多く災害が頻繁に起こることだ。2つ目は「水が少ない」ことで、水資源不足が依然として経済を発展させる制約要素となっていること。3つ目は「水の汚れ」で、水環境の悪化について有効な抑制が出来ていない。4つ目は「水の濁り」で、水土の流出や生態の退化傾向は根本的な改善がなされていないこと。

長江が危ない

長い間、長江汚染問題に注目してきた中国民間環境保護グループ「緑色江河」責任者の楊欣氏は、関連当局に長江についての法律・管理の強化、水資源の配置の合理化を訴えた。

「水源地区は生態環境の保護を強化する必要がある。家畜の放牧数を減らすことなどで水土の流出を阻止し水源地を保護するのだ。中・下流では普遍的に見られる汚染物質の排水を抑制することにより長江の水質を改善することができる。長江は中国最大の河川とはいえ、その水はいくら取って使用しても尽きることはないというわけではない。長江流域に豊富な水力資源があっても節水に関してはやはり努力すべきだ」

また、長江上流の重慶市に住む蒋世華さんは、三峡ダム建設後、長江の重慶区間の水質は向上したものの、沿岸の水汚染には依然として多くの漏れがあると話す。「一部の町工場、個人経営企業の汚水が直接長江に排出されています」

長江は危機に直面しており、森林の占める割合も低下している。植生は破壊され、土砂の含有量が増加し、渇水期はますます早くなり、水質の悪化により都市飲用水にも危害が及んでいる。また、廃棄物による汚染も深刻で、水門や水力発電所の安全に影響している。もし保護が間に合わなければ、長江は第二の黄河になるだろう、と楊氏は警告している。

楊氏はまた、ここ数年、国は長江汚染の管理を強化してきているが、立法と管理監督が停滞しているため、水の汚染処理への投入は不足しており、長江の水環境の悪化は根本的には好転していないと指摘している。

「中国は今、汚水や汚染排出に対する管理を強化すべきである。しかし中国の現行体制は一過性の投入に属し、前期の投入は中央政府あるいは地方政府が共同で出資、或いは資金調達を行ったかもしれないが、後期の維持過程においては一般的に地方政府が出資しなければ継続できない。だが往々にして経済状況がよくない地方では資金の捻出はできない。これは辺鄙で貧しい地方に汚水処理場を建設したものの、その効果が表れない状況を作り出している理由だ」。楊氏はこのように分析し、長江の生態環境を保護するため、長期的な効果が望めるシステムの構築が有効だと主張した。

(翻訳編集・坂本)
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