中国各地で軍車両が大移動 「国家軍事司令部」設立も

【大紀元日本8月29日】21日からこの一週間、北京、上海、遼寧省、河北省など中国各地で、ミサイル車や装甲車などの軍用車両移動が市民らに確認されている。内政の混迷、無差別テロなどを封じ込めたい習近平政権が率いる軍部の動きとみられる。

「こんなたくさんの戦車、生まれてはじめて見た」「どういう状況?軍事演習か?」「約70台の戦車が通過した。びっくり」中国版ツイッター・微博(ウェイボー)には写真付きで目撃情報が相次いで投稿された。

中国では今年、無差別殺人や連続爆発テロ事件などが多発し、社会不安は一気に高まった。さらに中国軍ナンバー2だった退役上将の徐才厚・前中央軍事委員会副主席や、党内序列9位だった周永康・前党政治局常務委員など大物政治家らの失脚にともない、国内情勢は前例のない複雑さを呈している。

強化重ねるテロ対策 大規模演習も中国各地で

中国各地は3月以来、昆明駅で発生した無差別殺傷事件の影響を受け、武装警察パトロールによる全天候型の警備常態化をしている。

北京、上海、深セン、青島など、武装警察によるパトロールが導入されており、「テロリストを現行犯で直接射殺できる」との発砲を許可した。広州市では、防弾装甲車両は街に出て、市内の巡回を実施している。武装警察が銃を持って人が駅など密集する地域でパトロールしている。

また今年3月以来、中国全土の22 省、 5 自治区、4直轄市でテロ対策演習が行われた。なかでも新彊ウイグル、北京、広東、雲南などの地域では複数回にわたって大規模に実施された。駅や空港など公共の場所を想定し、人だかりを狙ったテロ事件に備えていると考えられる。

今年3月7日付で大紀元日本語は、北京の情報筋から入手した話として、同月1日昆明で起きた無差別殺傷事件が、習政権に対抗するため、江沢民一派が勢力下にあった武装警察を使い仕掛けたものと伝えた。

習氏、軍でも江一派排斥を強める

7月31日付英紙フィナンシャル•タイムズは、「習近平主席の『トラ退治』の汚職撲滅キャンペーンは決して周永康氏で終わらせない。習氏は現在、次の目標を上海に定め、直接江沢民元主席を脅している」と報じた。さらに同紙は情報筋の話として、習氏は党内と軍内に根深く蔓延している江元主席の影響力を非常に不満に思っていると伝えた。

中国軍の主導権をめぐり、習氏は軍のトップに就任以来、大規模な人事異動や改革などを行い、江元主席の影響力を排除し続けている。

またカナダの軍事専門誌「漢和防御評論(Kanwa Defense Review)」によると、中国当局は北京の「西山地下指揮所」に、軍事指揮の最高戦略レベルを持つ「中央軍事委員連合作戦指揮センター」(中央作戦センター)を設けたと、4日の最新号で伝えた。

同センターは地下約100メートルに建設され、核攻撃にも耐えうる構造だという。このセンターは有事の際、アメリカ国防総省(ペンタゴン)のような「国家軍事司令部」の役割を果たす。

24日、河南省鄭州市新鄭市、十数キロにわたる軍用車両の列 (微博)

23日、天津薊県で、自走榴弾砲十数台が走行している (微博)

8月23日、122mm自走榴弾砲や戦車を載せた軍用列車が大連市甘井子駅を通過 (微博)

23日、河北省邢台市橋西区の道路で大量の戦車が走行している (微博)

22日、上海市の街で、「紅旗」地対空ミサイルを運ぶトレーラ (微博)

22日、広東省深セン市龍崗区のG15沈海高速道路で、戦車を運ぶトレーラ (微博)

21日、河北省衡水市棗強県のG45号大広高速道路で、地対空ミサイルや対戦車ミサイルなどを搭載したミサイル発射車両の列 (微博)

(翻訳編集・王君宜)

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