中国銀行大幅減益 不良債権問題深刻化

最近発表された中国の主要経済指標である製造業PMIや、大手国有銀行各社の上半期決算はいずれも不振で、中国の景気後退傾向がいっそう強まっている。銀行の決算悪化の主因は不良債権の増加とされている。

中国政府が1日発表した8月の製造業PMIは49・7であり、7月の50・0からさらに低下した。同指数は50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退を示唆。景気動向を見る上で最重要指標の一つである。

また、8月末に発表された大手国有銀行5社の上半期決算で、銀行業の主な経営指標である純利益伸び率はいずれも大幅に低下、中国工商銀行は0・7%、中国建設銀行は0・9%、中国農業銀行は0・3%、中国銀行は1・1%、交通銀行は1・5%で、2008年の金融危機以降続いてきた2桁の増益から一転した。不良債権問題が主因とされる。各社の今年上半期の不良債権増加率は20%を超え、そのうち中国工商銀行は28%に達した。易会満・行長は「しばらくは不良債権からの圧力に直面し続けるだろう」と語った。

こうした中、ニューヨーク・タイムズ紙31日付の報道は、不良債権問題の一端、中国製造業の生産能力過剰の一部実態を伝えた。同紙記者はセメント工場が乱立する山西省長治市を現地取材した。「多くの工場の入り口には進入禁止のステッカーが張られ、操業停止中である。その一部は閉鎖したわけではない。政府と国有銀行は融資返済期間の延長や追加融資などの支援策で延命させている」。現地政府当局者の説明では、2014年省内のセメント工場の生産能力は需要の3倍で、3分の2の企業は赤字である。

このような開店休業状態の工場の大多数は地方の国有企業である。地方政府が衝動的にこうした企業の設立を後押しした結果、生産能力が市場の需要を大幅に超えてしまい、経営難に陥った。

中国政府の公式サイトによれば、生産能力過剰の業界は主に鉄鋼、セメント、太陽光発電、造船、ガラスであり、もっとも深刻のは鉄鋼、セメント、ガラスの製造業で、その生産能力過剰率は40%近くになる。

米投資会社の中国系米国人の経済アナリストは米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対し、「行政が経済を主導するため、中国の企業と銀行は共存共栄、共倒れの緊密関係になっている。今後、状況はさらに悪化する」と述べた。

(翻訳編集・叶子)

関連記事
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]