米国の中国語メディア 台湾ケーブルテレビ局を買収か

米国の中国語メディア、ダイナミック・マーケティング・グループ社(Dynamic Marketing Group、以下DMG)のミンツCEOがこのほど、6億ドル(約730億円)で台湾のケーブルテレビ局、東森電視(ETTV)を個人名義で買収すると発表した。DMG社の親会社は中国軍部の投資会社とも言われていることから、今回の買収には様々な憶測が飛び交っている。台湾経済部(経済産業省にあたる)は、DMG社の東森電視買収計画について慎重に検討するとしている。

DMG社の親会社、中国国内企業のDMG控股集団は中国軍部が投資する企業とされている。一連の買収に関して、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は台湾健行科技大学の顔建発・教授を取材した。

同教授は「中国は海外メディアを厳しく検閲し、自国内の言論の自由すら持ち合わせていないというのに、どうして海外メディアを買収するのか。それは世論に影響を与えるためにほかならない」と指摘し、香港を例に挙げて「中国政府に参入されると、自由メディアは自由でなくなる」「もし10社、100社のメディアが全て右へならえということになったら、いったいどうなるのか。事態を重く見るべきだ」と警鐘を鳴らした。

同紙は11月25日に香港株式市場で公告を発表、「第3社が買収する意向で、いまは協議の初期段階」と言及するにとどまった。

こうした中、VOAは中国人からのコメントを紹介した。山東省在住の男性は「台湾人は警戒を強めるべきだ。現在の民主主義制度が永遠に続くなどと思ってはいけない」と憂慮し、四川省在住のリスナーは「台湾は中国に気を付けろ。過去2回の国共合作の際、すべて共産党の都合のいいようにされた結果、国民党は中国を追われてしまったではないか」と警告を発している。

11月2日付のロイター通信の長編調査報道によると、米国や欧州、豪州など14カ国の33以上のラジオ局が、中国最大の政府系ラジオ局「中国国際広播電台(CRI)」の支配下に置かれ、その番組を大量に放送することで中国の宣伝を繰り広げているという。

(翻訳編集・桜井信一、叶子)

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