李克強首相、全人代で「不動産市場」に言及 専門家「引き続き中国経済のけん引役」

李克強首相は3月5日に開幕した全人代の「政府工作報告」において、中国不動産および住宅市場に関する政府方針を示した。専門家は今後10年間、不動産市場は依然として中国経済成長の主要けん引役である一方で、住宅の在庫削減も当局の重要な任務と位置付けられていると分析している。

李首相が読み上げた「政府工作報告」には不動産市場に関して主に八つの方針が記されている。一つ目は、「営改増」改革(営業税から増値税への徴税転換)のテスト実施範囲を建設業や不動産業などにも拡大し、すべての企業が新たに購入した不動産に含まれる増値税を控除範囲に入れ、全業界の税負担を軽減する。

二つ目は、バラック住宅600万棟を改造する。都市保障型住居建設と不動産市場の安定かつ健康な発展を推進する。三つ目は、合理的に分譲住宅取引コストを下げ、農民工の中小都市での住宅購入を奨励する。

四つ目は、約1億人が居住するバラック住宅などを改造し、1億人を中西部地区での「都市化」へと導く。五つ目は、2020年までに常住人口の都市化率を60%に、戸籍人口の都市化率45%を達成させる。六つ目は「新型都市化」の深化を推進する。七つ目は、農業人口の市民化を加速させる。八つ目は、各地の状況に合った措置をとり、不動産在庫を削減していく。

中国不動産専門家の謝逸楓氏が中国系ポータルサイト「鳳凰網」における自身のブログで、今回の政府工作報告では不動産市場に関する政府方針に「抑制」、「取り締まる」、「投機」、「調整」、「引き締める」など、政府による不動産市場介入を示唆するワードが3年連続なくなり、また李首相は「不動産」を3回、「住宅」を10回口にしたが、不動産税(固定資産税にあたる)には全く言及しなかったことに注目した。

政府工作報告の不動産市場に関する内容から、「不動産市場は今後10年間、依然として中国経済成長の主要けん引役と政府は位置付けている。そのため通貨政策がより緩和的で、通貨供給量の拡大が予測される。また、住宅需要を拡大させ、住宅在庫削減の対策として農村住民の都市での住宅購入を促すため、農村戸籍から都市戸籍に変える戸籍改革、いわゆる戸籍人口都市化を加速させる。さらに分譲住宅の購入コストを低下させ、農民工の中小都市での住宅購入を促す。「バラック住宅改造の補償金給付で市民に新たな住宅購入を促進させるなど、住宅の在庫削減対策が多元化になる」等の今後の政府方針が読み取れると謝氏は分析している。

(翻訳編集・張哲)

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