弾劾された朴槿恵大統領(Jeon Heon-Kyun-Pool/Getty Images)

朴槿恵氏弾劾と同時に始まる韓国大統領選 気になる朴氏の今後

韓流ドラマ顔負けの朴槿恵(パク・クネ)事件が10日、弾劾決議成立で幕を閉じた。朴氏は韓国史上初の弾劾された大統領となった。次期大統領選は60日後に予定されている。朴槿恵氏の今後も気になるところだ。

 弾劾決議は裁判官全員一致

10日11時頃、憲法裁判所の8人の裁判官が全員一致で大統領弾劾の判決を下した。同裁判所は、「憲法を守る点から判断して、朴槿恵氏の一連の行為は到底認容のできない重大な違法行為」であり、国会が提出した一部の事実は成立しないものの、友人の崔順実(チェ・スンシル)氏の国政干渉等の事実は罷免事由に相当すると判断した。

弾劾判決が下された後、裁判所外の民衆は「民意が勝利した」「韓国はやっぱり民主的な国家だ」などと歓喜のあまり叫ぶ様子が見られた。弾劾判決前日に行われた世論調査によると、朴槿恵氏弾劾を支持する韓国国民は8割以上に上った。

韓国憲法裁判所は一審終局制のため、被告は判決に異議申し立てをすることができない。弾劾判決により、朴槿恵氏は韓国史上初の弾劾された大統領となった。2004年には盧武鉉(ノ・ムヒョン)・元大統領が朴槿恵氏主導の国会に弾劾されたが、大多数の韓国国民が反対したため、憲法裁判所は弾劾決議を下さなかった。

韓国憲法裁判所法定内部(KIM MIN-HEE/AFP/Getty Images)
弾劾判決を聞き喜ぶ市民(全景林/大紀元)

 韓国大統領選が始まる

朴槿恵氏弾劾が決まった10日から選挙が正式に始まった。韓国選挙管理委員会によると、弾劾決議可決後60日以内に大統領選が行われなければならない。5月初旬には長期休暇があり、ちょうど60日後に当たる5月9日に選挙が行われる可能性が高い。

韓国世論調査機関によると、野党の「共に民主党」候補文在寅氏が10週連続トップを独走し、32%の支持率を獲得している。二位は忠清南道知事・安熙正氏で支持率17%、続いては国民の党の元党首安哲秀氏と大統領代理・黄教安氏が共に9%で、城南市長李在明氏は8%となっている。

 朴槿恵氏の今後

韓国の法律により、弾劾された朴槿恵氏は即日大統領府を去り、一市民として5年間、公職に就くことを禁じられる。高額な大統領年金等の資金的援助や最長15年間の警護、個人オフィスや個人ドライバー等のサポートが受けられず、残るのは5年間の警護だけだ。

しかし朴氏にとって最も心配なのは年金や各種サポートではなく、元首としての不逮捕特権だ。平民となれば朴氏は収賄等の疑いで刑事訴追される可能性がある。朴氏はすでに独立検察チームにより収賄や職権乱用、国家機密漏えいや医療法違反等の13のに問われている。

(翻訳・文亮)

関連記事
韓国の尹錫悦大統領は4日未明、わずか6時間で非常戒厳を「解除する」と表明し、国会から軍が撤収した。一連の混乱は韓国政治だけでなく、国際社会にも衝撃が走った。戒厳令宣布の背景には、何があるのか。
EUは中国製設備を事実上排除する新たな規定を水素生産補助金計画に追加。電解槽が25%以上中国製の場合、補助金対象外とする方針で、エネルギー産業における中国依存を減らす狙いがある。
パラオは台湾との関係を維持し、中国依存の脱却を目指して観光業の多様化を進めている。新たな航空路線の開設や、文化と環境を尊重する観光客層の誘致に注力している。
韓国の半導体産業が中国のダンピングで圧力を受け、輸出競争力が低下。韓国政府は14兆ウォン規模の財政支援を発表し、半導体生態系の強化と高付加価値製品へのシフトを目指している。また、中国市場への輸出依存が減少する中、中国の追い上げが韓国にとって大きな脅威となっていると警告している。
BRICS諸国がドルの代替通貨を模索する中、次期米国大統領トランプ氏は100%の関税を警告。専門家は実現性に懐疑的。