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腐敗社会

衝撃!ひとりで16億円を収賄「公務員なら無能なバカでも金が集まる」

「公務員なら無能なバカでも金が集まる。商売人が公務員に金銭を渡すのは『友情』とか『才能を称える』とか、そういうことではない。権限ある職位に就く者には、自動的にカネや物品が集まってくる。皆知っていることだ」。

冒頭の言葉は、2015年4月、貴州省凱里市の洪金洲・元市長(庁局級副職)が1億2000万元(約19億2000万円)の収賄容疑で、当局から取り調べを受けた際に発したもの。国営新華社通信が同年、伝えている。

中国は、当局自身でさえ取り締まりきれないという官僚の深刻な腐敗問題を抱えている。

中国国家幹部の職級は低い順から高い順まで、郷科級正職と副職、県処級正職と副職、庁局級正職と副職、省部級正職と副職、国家級正職と副職となっている。

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約80億円を不正蓄財し、愛人はべらかす「超汚職」高官も

庁局級副職はまだ、公務員職階のうちの中級レベルだ。それより上の省部級副職以上の高官について、中国当局がこれまで公表した情報でも、1億元(約16億円)以上を収賄した人は12人も摘発されている。

なかでも、中国人民政治協商会議天津市委員会の前副主席で、同市公安局前局長の武長順氏が収賄や着服した金額が、最高額となっている。当局発表によると、武氏は職位を利用して、8400万元(約13億4400万円)を収賄し、3億4200万円(約54億7200万円)の公金を着服し、1億元以上の公金を使い込み、総額5億元(約80億円)以上を不正蓄財したとした。

中国政府系メディアは、武氏が莫大な公金を着服しただけではなく、何人もの愛人がいて「道徳感はひどく退廃している」と批判した。

「超汚職」の額で2番手につくのは、雲南省前トップで同省前党委員会書記の白恩培氏。2000~2013年まで2億4700万元(約40億円)を収賄した。当局が公表した情報では、白氏が収賄のほかに、収入源の不明な巨額資産を持っているという。

3位は、中国人民政治協商会議広東省委員会の前副主席の朱明国氏で、収賄と着服した金額は2億3200万元(約37億円)。また、4月14日広東省珠海市中級法院(地方裁判所)は、浙江省寧波市の盧子躍前市長(省部級正職)が1億4700億元を収賄したとして公判を始めた。収賄金額は、12人中、7番目の大きさだ。

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天津市の中級人民法院に出廷した周永康

前中央政治局常務委員(CCTV screenshot)

しかし中国当局は、汚職で失脚した周永康や郭伯雄、徐才厚などの国家級副職以上の高官について、収賄や着服した金額について公表していない。金額が厖大で、報道すれば国民からの不満が巻き起こり、政権を揺るがす事態に発展するのではと当局が懸念していると推測する。香港メディアの報道では、郭伯雄と徐才厚が収賄や着服した金額はそれぞれ200億元(約3200億円)にのぼるという。

一方、1億元以上を収賄や着服したと摘発された職級の低い県処級などの幹部も数多くいる。国家エネルギー局石炭司の前副司長の魏鵬遠氏は2億元(約32億円)以上、国有企業の黒龍江省龍煤集団公司の物資供給子会社の元社長・于鉄義氏は3億元(約48億円)以上をそれぞれ収賄。

 同じく国有企業の河北省秦皇島市北戴河区水道供給総公司幹部、馬超群氏に対して、当局が家宅捜査を行ったところ、馬氏の家から1億2000万元の現金と37キロの金延べ棒が見つかった。また馬氏は自宅のほかに、68軒の不動産を保有。河北省大名県の前県党委員会書記の辺飛氏は、1億元以上を収賄し着服した。

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以上は明らかにされた例に過ぎず、公にされていない汚職はもっと多いと推測されている。江沢民前国家主席の「腐敗を以て治国する」方針により、不正が正当化され、汚職官僚の数が全国レベルで一段と増加した。反腐敗を掲げる習近平政権にとっては、完全に汚職官僚を摘発するまで、道のりは長そうだ。

(翻訳編集・張哲)

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