疑われる中国の関与

北朝鮮のミサイル実験 中国の衛星利用か=米メディア

国際社会の中で、北朝鮮の度重なるミサイル発射実験を憂慮する声が高まっている。ミサイル発射には、衛星からのナビがなければ標的に誘導することは不可能であるため、システムを有していない北朝鮮は中国のものを使用している可能性があるという。米誌「ナショナル・インタレスト」5月23日が報じた。

ナビのないミサイル発射か、中国の衛星を利用か 憶測飛び交う

発射されたミサイルは、人工衛星がナビの役割を果たし、目標に到達する。しかし、北朝鮮はその衛星ナビを持っていない。そのため、そもそもナビを利用していないか、あるいは中国の衛星ナビシステムにアクセスしているなど、様々な憶測が飛び交っている。

2014年には北朝鮮の技術者が中国で、中国の衛星測位システム「北斗」の操作技術に関する研修を受けていることが、報じられている。また、伝えられるところによると、中国の軍事専門家の話として、中国側は北朝鮮が「北斗」のナビゲーションシステムを軍事行動に用いることを阻止することができないという。

中国の「北斗」は、米国の全地球測位システム(GPS)の機能と同じように、民間・商業用のシステムと、軍事用システムの2つのナビサービスを提供している。米国のは全世界を範囲とするが、「北斗」は一部地域に限定される。軍事バージョンには電子妨害抵抗性が備わっており、精度も高いと言われている。

軍事用の「北斗」が北朝鮮に使用されているのかは確認されていないが、北朝鮮のミサイルが電子妨害されやすい民間用の「北斗」を使用していることについても疑いの余地がある。

米国の「憂慮する科学者同盟(UCS)」グローバル・セキュリティー・プログラムのシニアアナリスト、グレゴリー・クラツキー氏は、「中国の非公開通信バンドを正確に使用するには、北朝鮮は特殊なチップを必要とし、中国からの協力が不可欠だろう」と分析している。

同雑誌によると、ワシントンはこの件について北京側と話し合う必要がある。その際、「北斗」問題と、それが北朝鮮の拡大し続けているドローン部隊へのナビ問題も協議事項に含まれるべきである。

(翻訳編集・島津彰浩)

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