「顧客の口座を無許可で使用」中国大手銀の大胆な資金洗浄手法
大手国有銀行、中国工商銀行(ICBC)マドリード支店が資金洗浄を行ったとして、スペイン当局は昨年、同支店幹部7人を逮捕した。ロイター通信は最近、一部の機密資料を入手し、数億ユーロ(1ユーロ約130円)に上る巨額の資金洗浄の詳細を報じた。
ロイター通信は、電話傍受の記録、不正送金の記録など数千ページに及ぶ検察当局の証拠資料を入手したほか、捜査関係者やICBC元社員を取材した。
通話記録は、ICBCマドリード支店の高級管理職の女性、ICBC中国国内のスタッフが、闇のマネーロンダリング組織の幹部6人と交わした約30回の通話。同闇組織は銀行経由で中国にブラックマネーを送金した疑惑がもたれている。会話のなか、女性幹部らが組織に不正の発覚を防ぐための裏技をこと細かくに教えていた。
スペイン在住の中国人顧客の銀行口座を使って行われるマネーロンダリングは、口座名義人の許可を得ていない場合もあるようだ。
2012年8月8日の通話では、女性幹部が組織の関係者に対し、「口座が知らぬ間に他人の送金に使われた」と顧客からクレームがあったと話し、「必ず慎重にやれ。協力者の口座しか使うな」「これ以上クレームがあがると、銀行に不利だ」などと叱責した。
スペイン当局は数年前から、関係者の電話を傍受するなど捜査に乗り出した。昨年2月17日、ICBCマドリード支店を家宅捜査し、スペインの複数の犯罪組織に資金洗浄を行ったとして、同女性幹部のほか、同支店長、ICBC欧州支局局長ら上層部幹部6人を相次ぎ、逮捕した。
7人はまだ起訴されておらず、現在保釈中でパスポートが押収されている。スペインの法律では起訴まで最長4年間の拘留期限がある。2012年保釈された闇組織の幹部1人が中国に逃亡した。
匿名の捜査関係者はロイター通信の取材に対し、同支店が開業した2011年からの3年間に中国に送金した2.25億ユーロの大半は、資金洗浄にあたることを話した。ブラックマネーは主にスペインの中国企業が脱税した金とみられる。
イタリアでは、同じく中国大手国有銀行の中国銀行が今年、マネーロンダリング事件に関わったとして罰金の処分を受けた。
(翻訳編集・叶清)