米国は強力なアジア関与を、中国の影響力拡大に懸念=豪外交白書

[シドニー 23日 ロイター] – オーストラリア政府は23日、外交政策白書を発表し、米国にアジア地域で強い存在感を示し、「同じ考えを持つ」関係国との連携を深めるよう求めた。また中国の影響力拡大について警戒を示した。

政府は115ページにわたる白書で、米国がより閉鎖的な姿勢を取れば、「ルールに基づく世界秩序」のリベラルな性質に悪影響を及ぼすと指摘。「オーストラリアは、世界で最も豊かで革新的かつ強力な国の関与がなければ、国際的な課題に効果的に対応できないと考えている」とした。

また「国際システムへの米国の継続した深い関与が、引き続き世界の安定と繁栄の基礎となる」と指摘。こうした関与がなければ、国際秩序の有効性とリベラル性が損なわれるとした。

豪政府は白書で同国が直面するリスクを指摘し、権力バランスのシフトを背景とした「インド太平洋地域」でのリスクなどを挙げた。南シナ海が地域の秩序において「主要な断層線」だとし、中国が「前例のないペースと規模」で埋め立てや建設を行っていることに懸念を示した。

中国外務省の陸慷報道官は定例会見で、豪政府の白書は全体的に中国の発展と中豪関係にポジティブな評価を示したと述べた上で、南シナ海については「無責任な見解」があるとした。

オーストラリア国立大学の中国研究機関「オーストラリアン・センター・オン・チャイナ・イン・ザ・ワールド」のジェーン・ゴリー氏は、豪政府は中国の台頭による経済的利益を認識する一方で、中国を遠ざけようとしていると述べた。

同氏は「インド太平洋」という文言が使用されたことについて、「『アジア太平洋』という文言から『アジア』を削除することは、30年間の外交努力を元に戻すことになる」と指摘。白書では「インド太平洋」は120回使用されたが、「アジア太平洋」は一度も使われていない。

米国と一部同盟国は最近、「アジア太平洋」の代わりに「インド太平洋」を巡る構想に言及しており、中国の影響力を弱める目的があるとされる。

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