サハリン1が来年増産見通し、ロシアの協調減産順守に支障も
[ニューデリー/シンガポール 27日 ロイター] – ロシア・サハリン州の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン1」の原油生産量が、来年1月から約25%増えて日量25万─26万バレル前後になる見通しだ。複数の関係者が明らかにした。増産になれば、ロシアが石油輸出国機構(OPEC)と協調減産の延長に合意しても、順守が難しくなるかもしれない。
ロシアとOPECは30日、来年3月に期限を迎える協調減産の延長について協議する予定だ。
ただある関係者は「来年1月からサハリン1とロスネフチの別の鉱区の原油生産量は日量約25万バレルになる」と語った。サハリン1はエクソンモービル<XOM.N>が運営し、現在は日量およそ20万バレルを産出している。
2人目の関係者は、来年第1・四半期中に生産量が26万バレルに、3人目も25万バレル強になるとそれぞれ見込んだ。
また1人目の関係者は「エクソンは増産の許可を申請中で、年内には承認を得られると期待している」と説明。一方でプロジェクトに参加している各社は増産を「前倒し」で実施し、万が一許可が下りなければ減産する方針を選んだという。
サハリン1は、エクソンと日本の官民出資企業サハリン石油ガス開発(SODECO)」が権益の30%、インド国営石油会社が20%、残りをロスネフチが保有している。
ロシアは協調減産の延長を支持する意向を表明している。半面、同国の経済相は、協調減産による投資抑制がロシア経済に打撃を与えているとの見方も示した。
それでもコンサルティング会社リソース・エコノミストの原油・精製品ディレクター、Ehsan Ul-Haq氏は「協調減産に応じて原油価格を高めに維持することがロシアの利益になる」と指摘。そのためにサハリン1の増産分をどこか他の地域の減産で穴埋めせざるを得なくなる可能性があると予想している。