米共和党、税制改革法案でオバマケア一部改廃 救済策の審議は来年
[ワシントン 20日 ロイター] – 米議会で20日に最終案が可決された税制改革法案では、共和党が長く目指してきた医療保険制度改革(オバマケア)の改廃が一部実現した。一方で、オバマケア改廃で国民が被る不利益を軽減する法案の審議は来年に持ち越された。
下院は20日午後、法人税率の大幅な引き下げなどを柱とする税制改革法案の最終案を再可決し、法案は署名のためトランプ大統領に送られた。
この法案には、オバマケアの下で医療保険に加入していない個人に連邦政府が科していた罰金を廃止する条項が含まれる。個人の加入義務はオバマケアの柱だった。
議会予算局(CBO)の試算では、個人の加入義務が廃止されれば、今後10年間の大半の年で保険料が10%ずつ上昇し、2027年までに1300万人が保険を失う見通し。
上下両院で過半数を握る共和党は今年、オバマケア改廃法案の可決を数度試みたが、党内の反対にあって実現していなかった。
トランプ大統領は20日、税制改革法案の可決を受け、ホワイトハウスで開いた閣議で「われわれは実質的にオバマケアを廃止した。今後はこれよりはるかに優れたものを打ち出す」と述べた。
今回、オバマケア改廃に関連した3つの法案への対応が先送りされたことで、来年の初めからオバマケアを巡る新たな戦いが議会で始まる見通しだ。
このうち2つの法案はオバマケアの下で個人の保険加入を支援するために創設されたオンライン保険市場の安定化策に関するもので、もう1つはメディケイド(低所得者向け公的医療保険)を受ける資格のない世帯の約900万人の子供を対象とした児童医療保険プログラム(CHIP)に関するもの。
共和党のスーザン・コリンズ上院議員とラマー・アレグザンダー上院議員は、オンライン保険市場の安定化に向けた2法案を支持。両議員によると、ミッチ・マコネル上院院内総務は来年にこれらの法案を支持すると約束した。両議員は議会に対し、法案を1月に取り上げることを求める方針。
両議員はまた、政府の資金拠出が9月末で期限切れとなったCHIPを再び認可する法案についても来年に審議が持ち越されたと明らかにした。