米上院で新たな超党派移民法案、大統領は代替案を支持

[ワシントン 14日 ロイター] – 米上院の超党派議員グループは14日、幼少期に親と米国に不法入国した「ドリーマー」と呼ばれる若者の保護や国境警備の強化を盛り込んだ移民制度改革法案を公表した。ただ、トランプ大統領はより強硬な措置を支持するよう議会に求めており、法案の行方は不透明だ。

超党派の法案を作成した1人である共和党のグラム上院議員によると、180万人にのぼるドリーマーを強制送還から守る一方、ドリーマーの親にはそうした保護は提供しない。ホワイトハウスに譲歩した格好だ。

トランプ大統領が支持している上院案は、ドリーマーを保護し、市民権取得への道を開く一方、合法移民を削減する内容も盛り込んでおり、多くの議員が反発している。超党派法案の議論に関わった議員によると、法案では合法移民の大幅削減を求めるトランプ氏の要求には応じていない。

グラム議員によると、法案では国境警備強化に250億ドルを拠出するとしている。国境監視員の増員やフェンスおよび電子機器を用いた監視の増強などに充てることができる。メキシコ国境の「壁」についても、少なくとも部分的な建設に道が開かれる。

ただ、ホワイトハウスが発表した声明の中でトランプ大統領は、2つの移民プログラムの縮小を盛ったグラスリー上院議員(共和党)の法案を支持するよう与野党双方の上院議員に求めた。

ただ、グラスリー上院議員の法案を民主党議員の多くが支持する可能性は低いとみられている。

上院民主党のシューマー院内総務は、移民法案策定の難しさを指摘した上で「ドリーマー救済に向けた法案を上院で可決できる可能性が、いまだかつてなかったほど高まっている」との見方を示した。上院は15日、提示されている複数の移民法案の採決を行う見通し。

超党派法案作成に関わった共和党のフレーク上院議員は、トランプ大統領の反対があっても法案の可決を目指すと言明。「大統領は拒否権を発動するかもしれないし、署名するかもしれない。だが、われわれは法案を可決しなければならない」と述べた。

上院が法案を可決したとしても、下院での行方は不透明だ。ライアン下院議長(共和党)はこれまでに、トランプ大統領の支持がない法案は採決にかけないとの考えを示している。

共和党のマケイン上院議員と民主党のクーンズ上院議員も別の超党派法案を提示しているが、ホワイトハウスはこれについても14日、不法移民の増加につながるなどとして反対の立場を示した。

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