中国の「女性専用車両」は男性ばっかり、「社会の縮図」=米メディア

中国広東省広州市や深セン市は昨年6月末、地下鉄での痴漢行為を防ぐため、女性専用車両を試験的に導入した。しかし導入後、女性専用車両では多くの男性乗客が陣取っている。米メディアは、この現象が法の執行力の弱い中国社会の縮図だと指摘した。

米紙・ニューヨークタイムズ(4日)によると、広州市地下鉄の女性専用車両に乗り込んだのはほとんど男性客だという。

女性乗客は同紙に対して、地下鉄の駅員が男性乗客に対して女性専用車両を利用しないようにと説得しても、「全く聞かない。本当にマナーが悪い」と述べた。

地下鉄の駅員は、女性専用車両が導入されて以降、男性乗客に対して理解を求めて説明を繰り返したが効果は薄かったと、気を落としているという。

ニューヨークタイムズは、中国では法律・条例の執行力が弱いと指摘した。「中国当局は、性差別を禁止しているが、性差別についての定義を明確にしていない。このため、セクハラ行為を受けたにもかかわらず、警察当局に通報する女性は少ない」「女性専用車両の現状は社会の縮図だ」とした。

同報道によると、広州市地下鉄当局は、「女性をいたわり尊重する」とのスローガンの下で、女性専用車両を導入した。しかし、広州市地下鉄当局の広報担当者は、車両に「女性限定」と表示していないため、「男女乗客を強制的に離すのに法的根拠がない」とした。

国営メディア「中国青年報」が2015年に行った調査では、女性アンケート回答者の半数が、地下鉄やバスなどの公共交通機関で痴漢行為を受けたと訴えた。

昨年7月、深セン市地下鉄の女性専用車両を取材した国内メディア「北京青年報」の記者は、「この車両にいる38人の乗客のうち、26人が男性」「女性専用車両は、男性の乗客に占拠されている」と指摘した。

ニューヨークタイムズの報道を受けて、国内インターネット上でも話題となった。

カナダに住む中国人ネットユーザー「小小百姓倒楣」は、「カナダの地下鉄に女性専用車両があったら、12歳以上の男性はその車両を遠慮するだろう。女性専用車両の設置に反対するのなら、当局に訴えなさい。法律が変わる前に、男性が乗り込むのはよくない」と指摘した。

蘇州市ネットユーザーの「jiangyong_877」は、中国人のマナー意識の低さが最大の問題だとし、「信号を無視する人がまだまだ多いから」と書き込んだ。

(翻訳編集・張哲)

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