北朝鮮の変化に日本は慎重な見方、「圧力続ける」と菅官房長官

[東京 7日 ロイター] – 日本政府は北朝鮮が米国との対話に前向きな姿勢に転じたことに対し、これまでも非核化の約束をほごにしてきたとして、慎重な見方を崩していない。菅義偉官房長官は7日午前の会見で「対話のための対話では意味がない」と従来の発言を繰り返し、最大限の圧力をかけ続ける方針を示した。

<北に猶予期間>

「忘れてならないのは、北朝鮮は過去何度も同じように核の放棄を半ば約束し、実際は核開発をずっと続けていたことだ」──韓国政府による南北会談開催の発表から一夜明けた7日午前、登庁した小野寺五典防衛相は記者団にこう語った。

1990年代初めに北朝鮮の核開発疑惑が浮上して以降、米国をはじめとする国際社会は、核開発放棄と引き換えに北への経済援助を繰り返してきた。実際には開発は続き、北朝鮮は2017年9月に6回目の核実験を行い、大陸間弾道弾(ICBM)用の水爆の開発に成功したと発表した。同年11月には新型ICBMとするミサイルを発射した。

日本の政府関係者からは、今回の動きも核・ミサイル開発を進めるための時間稼ぎと懸念する声が出ている。東アジア情勢に詳しい日本の元外交官は「4月末に南北首脳会談を開くことに合意したことで、北朝鮮は1、2カ月の猶予期間を手に入れた」と話す。「誰も北朝鮮内の開発状況を検証できない」と、同氏は言う。

<韓国に早期の説明促す>

それだけに日本政府は、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動をみせることが先決と訴える。小野寺防衛相は「意味ある対話を行うには、北朝鮮が完全で検証可能な、不可逆的な方法で核・ミサイル計画を放棄にすることを約束し、非核化に向けた具体的な行動を起こす必要がある」と語った。

日本は韓国政府から、訪朝に関して早期に説明を受けたい考えだ。菅官房長官は「韓国当局とはすでにそれぞれの立場で意思疎通を始めているが、特使派遣についてできるだけ早期に(話をすることで)調整中」と述べた。その上で、ソ・フン(徐薫)国家情報院長が訪日する方向で調整していることを明らかにした。

(久保信博、中川泉、リンダ・シーグ)

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