米大統領、シリア情勢巡る協議で決断に至らず 市場警戒は後退

[ワシントン/国連 12日 ロイター] – トランプ米大統領は12日、化学兵器使用の疑いがあるシリアへの対応について国家安全保障チームと協議した。ただ、最終決定には至らなかったほか、トランプ氏が軍事行動について「いつになるかを言ったことは一度もない」とツイートしたことで市場では警戒感が和らいだ。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使は同日、米国との戦争の可能性について「排除できない」と警告し、米国や同盟国にシリアに対する軍事行動を控えるよう求めた。

トランプ大統領は前日、ダマスカス近郊にある反体制派の拠点で今月7日に化学兵器が使用された疑惑に対応し、シリアに「ミサイルが向かう」とツイッターに投稿するとともに、シリアのアサド政権を支援するロシアを厳しく非難していた。

ただ、12日のツイートでは「シリアへの攻撃がいつになるかを言ったことは一度もない。すぐかもしれないし、全くそうではないかもしれない」とトーンダウン。

ホワイトハウスは、大統領と国家安全保障チームの協議について、「最終決定には至っていない」と発表。「引き続き情報を精査し、パートナー国および同盟国と対話を続けている」とした。

フランスのマクロン大統領は、シリアで化学兵器が使用された「証拠をつかんでいる」と明かし、必要な情報がすべてそろい次第、攻撃するかどうかについて判断すると語った。

ただ、ロシアと西側諸国が直接対峙する事態を回避するための取り組みが行われている兆しもある。ロシア大統領府は、シリア情勢を巡る突発的な衝突を回避するための米国とのホットラインについて、双方が使用していることを明らかにした。

ロシアのネベンジャ国連大使は「戦争の危険性を回避することが当面の優先課題となる。取り返しがつかない状態にならないことを願う」と語った。

一方、オランダにある化学兵器禁止機関(OPCW)は、シリアに派遣した専門家チームが14日に現地で調査を開始すると明らかにした。トランプ大統領と同盟諸国が攻撃の判断を調査結果が出るまで先送りするかどうかは明らかではない。

マティス米国防長官は議会で、軍事行動に関するいかなる決定も下してないと表明した。

シリアに対する軍事力行使が差し迫っていない可能性をトランプ大統領が示唆したことを受け、世界の株式市場は持ち直しの動きとなった。

関連記事
米司法省はトランプ次期大統領の4つの重罪起訴を撤回へ。背景には現職大統領の起訴回避慣例が。ロシアはトランプ氏の和平案に注目し、対立の終結を期待。ウクライナとの和平条件の溝が深まる一方で、米国政治が戦争の動向に影響を与える可能性が示唆されている
米軍は台湾海峡を含むインド太平洋地域で分散配置を推進。HIMARSや空母を南西諸島やフィリピンに展開し、脅威に対応。3隻の空母や最新兵器を活用し、中国を牽制する動きを強化
2年前、全中国を席巻した「白紙運動(革命)」は中共執政以来数少ない抗議成功例となったが、今もなお大勢の若い抗議者が投獄され、あるいは行方不明になっている。
林芳正官房長官は26日の記者会見で、共同通信が生稲晃子外務政務官が参院議員就任後に靖国神社を参拝したとする記事を訂正したことに関し、「事実に基づかない報道がなされたことは極めて遺憾」と述べた。誤報は、日韓外交に影響を及ぼした可能性もある。
トランプ氏は、就任初日に合成麻薬「フェンタニル」の取引を巡る懸念を理由に中国からの輸入品に追加で10%の関税、不法移民問題をめぐりメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すと表明。