欧州諸国、対米貿易問題で忠告無視した報いに直面=ロ大統領

[モスクワ 7日 ロイター] – ロシアのプーチン大統領は7日、毎年恒例のテレビを通じた国民との対話で、欧州諸国に対して自身が何年も前に米国が自己のルールを押し付けてくる危険を忠告したのに無視したことで、彼らは今その報いを受けていると強調した。

プーチン氏は、米国が先週欧州連合(EU)とカナダ、メキシコに適用した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限と、経済制裁を同列視した上で「われわれのパートナーは、輸入制限と制裁という逆効果を生む政策が自分たちに決して降りかかってこないと思っていたようだ。だが現在、現実化しつつあることが分かる」と語った。

プーチン氏は、2007年のミュンヘンにおける演説で、米国が例外扱いを要求する姿勢の高まりと、他国に自らのルール受け入れを強いるリスクを警告していたと説明。それがまさに足元で起こりつつある現象であり、当時はだれも聞く耳を持たず、こうした動きを止めようとしなかったと嘆いた。

「だから言ったのに」というメッセージはロシアの実業家向けにも発せられた。富豪のロマン・アブラモビッチ氏が英国でビザ更新に苦闘している問題について質問されたプーチン氏は、かねてから国内の実業家に海外に資産を置いたままにしておく危険を指摘していたと答え、「私はロシア企業が国内に資本をとどめておくべきだと提言していた」と話した。

プーチン氏はロシア経済については「正しい方向に進んでいる。力強い経済成長に向かう足取りをたどり始めた。今の成長は緩やかで小幅だが、落ち込んでもいない」と楽観的な見方を示した。

ロシア中央銀行は、今年の成長率を1.5─2%と予想している。

一方プーチン氏は、サッカーのワールドカップ開催中にウクライナが東部の親ロシア派に軍事攻撃を仕掛けるなら、ウクライナは苦痛を受けると主張。「挑発行為が起こらないと期待するが、もし起きればウクライナの全般的な国家としての地位に非常に深刻な影響が及ぶと思う」と強くけん制した。

またロシア軍部隊のシリア駐留は、国益が存在する限り続ける意向を明らかにした。

今年国民から寄せられた質問には、反政権指導者のアレクセイ・ナバルニー氏がなぜ大統領選の候補者登録を認められなかったのか、また軍に予算がつぎ込まれても一般国民には回すお金がない理由は何か、といった厳しい内容も含まれ、プーチン氏が回答を避ける場面も見られた。

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