『孔子家語』巻八 辯樂解 (画像:〔清〕焦秉貞『孔子聖蹟図・学琴師襄』の一部抜粋)/パブリックドメイン
『孔子家語』巻八 辯樂解 (画像:〔清〕焦秉貞『孔子聖蹟図・学琴師襄』の一部抜粋)/パブリックドメイン

孔子が琴を学ぶ時の精神ー入神の領域に入る

師襄子(しじょうし)が孔子に一曲の演奏を教えた。孔子は毎日その曲の演奏を繰り返し練習し、煩わしさは微塵(みじん)も感じなかった。

10日が過ぎ、師襄子は孔子に言いました。「よく弾けるようになりましたが、その曲の技法を掴(つか)んでいません。新しい曲を教えましょう」孔子は言いました。「私は曲を弾くことができますが、技法をまだ掴んでいません」

また数日が過ぎ(孔子はこの曲を練習し続けた)、師襄子は孔子に言いました。「あなたは技法を使いこなしている、新しい曲を学んでもいいですよ」孔子は言いました。「いいえ、私はこの曲の神韻を理解していません」

また数日が過ぎました(孔子はこの曲を練習し続けた)。師襄子は孔子に言いました。「新しい曲を学んでもいいでしょうか?」孔子は言いました。「まだまだ作曲者がどんな方なのか、想像できません」

また何日も過ぎました(孔子はこの曲を練習し続けた)、孔子は言いました。「私はこの作曲者が誰なのか分かりました。この人は背が高く、眼光が明るく先見の明を持ち、王の気質を備える方です。これは周文王が創った曲です」

師襄子は驚きました。「私の先生が私に伝えたことがあります。この曲の名前は『文王操』です。」絶妙で至高の域に達した孔子の演奏技術に師襄子は感服し、席を外して孔子に礼をしに来た。

孔子が琴を学ぶことに関して私たちに3つの啓示がある

一、何事も学ぶときに集中力が必要であり、心と物(琴)を一体にする、練習し尽くして物事の真髄を掴む。

二、繰り返し絶えず練習すれば物事の深い境地に入る。

三、すべてのことは身を修め心を養うことである。

 

(編集・文亮)

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