日米通商交渉、日本側が4月開催を打診=関係筋

[東京 4日 ロイター] – 米国が対日貿易赤字の大幅な削減を求めている日米通商交渉について、日本側が4月に米国で初会合を開く提案をしていたことが分かった。関係筋が明らかにした。米側は3月中の交渉開始を求めているが、日本側は交渉担当の茂木敏充経済再生相が、2019年度予算案の審議など国会日程の過密で対応が難しく、4月中の開催を申し入れた。

茂木経済再生相の交渉相手であるライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、2月27日の米下院公聴会で、米国を除く11カ国の環太平洋連携協定(TPP11)と日欧EPA(経済連携協定)が発効し、牛肉など米農産品が日本向けの輸出競争で不利になっていると指摘。日米通商交渉を開始するため「できるだけ早く、3月にも訪日したい」と発言していた。

関係筋によると、日本側はこの発言を受け、正式に4月の交渉開始案を提案した。

日本側は5月26日のトランプ米大統領来日前に、茂木・ライトハイザー両氏による初会合を開催し、交渉の範囲を絞り込む段取りを想定している。

日米通商問題を巡っては、トランプ米大統領が28日にベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談後の会見で、日米貿易収支は「とても不公平な状態が続いており、それを安倍(晋三)首相も認めている」「日本は長年、何百万台もの自動車を送り込んできた」と発言。対日貿易に関する質問はなかったにもかかわらず、このような発言がなされたことで、日本政府関係者の一部に緊張が走ったと関係筋は明かす。

また、トランプ大統領は2月25日、全米の知事らとの会合でも米国内に「安倍首相は短期間で7つの工場ができると言ってくれた」と発言している。

米国は対日要求項目として、年間7兆円に上る対日貿易赤字の削減を明記しており、管理貿易に反対する日本側と基本姿勢に違いがみられる。

焦点は貿易赤字の大半を占める自動車。米国は安全保障を理由に自動車の追加関税を課すことを切り札に、メキシコとカナダとの間で締結された新通商協定に輸出数量規制の文言を盛り込んだ。このため日本政府関係者の間では、数量規制への警戒感も根強くある。

これに対し、安倍首相や茂木再生相は「共同声明に基づき、わが国の国益に沿って、今後の日米交渉をしっかりと進める」との答弁を国会で繰り返している。

昨年9月の日米首脳会談で枠組みが決まった日米通商交渉は、年明け早々の開催が予定されていた。USTRは昨年12月21日に対日要求事項を公表。米国内の法律上は1月末からいつでも初会合が開ける状態だったが、米政府閉鎖や米中通商交渉などの関係で、USTR側から具体的な交渉日程の提案がないまま、2月下旬まで経過した。

(竹本能文※)

関連記事
米国のトランプ大統領は、世界の「相互関税」を90日間停止したが、強硬な中共に対しては次々と追加措置を講じており、中国の一部商品には最大245%の関税が課されている。
4月22日、ロイターが入手した文書によると、中国共産党の党首がベトナムを訪問した直後、ベトナム商工省はアメリカやその他の貿易パートナーに対し「違法な貨物転送」の詐欺行為を厳しく取り締まるよう指示を出し、アメリカによるベトナムへの高関税措置を回避しようとしている。
イギリスの財務大臣レイチェル・リーブス氏は、低価格輸入品に適用される関税免税制度を精査し、国内市場における公正な競争を守る意向を示した。
ベトナムが米国から最新F-16戦闘機を大量購入へ。中共の脅威に備えた動きで、米越関係最大の防衛取引となる見込み。
スイスに本部を置く世界経済フォーラム(WEF)は22日、創設者のクラウス・シュワブ前会長(87)に対する内部告発を受けて調査を開始したと発表。