米アプライド・マテリアルズはこのたび、中国大手LEDとの取引を停止したことを発表した。米商務部は、貿易の要注意リスト50を追加した(Getty Images)

米、貿易取引の要注意リストに50組織追加 日本自動車部品中国子会社も

半導体チップ材料供給で世界大手のアプライドマテリアルズ(Applied Materials、米カリフォルニア拠点)は、中国最大のLEDチップ製造企業である三安光電子化工業製品との取引を中止した。三安光電は4月10日、米政府からの米企業に対する、取引の注意勧告の組織リストに入っている。

米商務省の4月11日付け官報によると、新たに加えられた50組織のうち7割超にあたる37組織は、中国の企業と大学が占める。リストの1つの会社は、日本の自動車部品メーカー・アイシン精機の中国子会社、愛信(南通)汽車技術中心有限公司。ほかには、北京バイスペース液晶材料技術有限公司で、ハイエンドスクリーン技術の特許を持つ企業。

日経アジアレビューが伝えた消息筋の話によると、アプライドマテリアルズ社と取引する、少なくとも3社の中国企業が「未確認リスト」になっており、このうちの1社が三安光電工だという。

ひとたび要注意リスト入りすれば、商務部は取引自体を停止はさせないが、契約の審査を厳格化する。このため、リスト入りした企業とは、製品販売や設備提供に、新たな申請を得なければならない。

米商務省の輸出管理責任者だったケビン・ウルフ上級部長によると、「禁輸措置より効果がある」とロイター通信の取材に答えた。例えば、以前に取り扱っていた製品を修理をする際、その時点で取引企業が要注意リストに入っていれば、部品調達には新たな手続きや許可が必要となる。

要注意リスト入りした企業や大学は、安全保障上で米国にリスクをもたらすとみなされている。ウルフ上級部長は、要注意リストについて「トラブルを避けるために一部の業者は禁輸措置になる。その実質的な効果は、法的効果より大きい」と述べた。

アプライドマテリアルズは、世界をリードする半導体製造装置をパネルメーカーに供給している。インテル(Intel)、サムソン(Samsung Electronics)、台湾半導体、中国の京東科技集団公司などは、このアプライドマテリアルズからの素材供給を受けて製品を生産する。

日経アジアレビューによると、アプライドマテリアルズは12日、未確認リストに指定された会社との取引に関わる社員全員に「直ちに、現在の取引を保留し、今後のプロジェクトの機器配達と取引をすべて停止する」と通知した。これは、下請け会社なども同様の指示を受けているという。

通知は、規則を守らなければ、米国通商法に重大な違反を犯す危険があると警告している。

米国の積極的な国内ルールの制定は、中国共産党主導の技術が世界に拡大するのを防ぐ狙いがある。

(編集・佐渡道世)

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