トランプ米政権は、国家安全保障上の脅威があるとして、中国企業への取り締まりを強化している。写真は4月4日、トランプ大統領はホワイトハウスで訪米した中国の劉鶴副首相と会談した(Chip Somodevilla/Getty Images)

ファーウェイの次は監視カメラメーカーか 米、中国企業に相次ぐ厳しい措置

トランプ米政権は、国家安全保障上の脅威があるとして、中国企業に対して全面的に封じ込める姿勢を強めている。先週の中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)に続き、米政府は今週、中国のドローンや監視カメラの製造会社に対して懸念を示した。報告書は、米国の企業に対して「権威主義の国が米国の情報を狙う行動」に強く警戒するよう促した。

米紙ニューヨーク・タイムズ21日付は、情報筋の話として、商務省は将来数週間のうちに、中国監視カメラメーカー、杭州海康威視数字技術(Hikvision、ハイクビジョン)を「エンティティ・リスト」に追加することを検討していると報じた。

エンティティ・リストには、国家安全保障上の懸念のある外国企業が列挙されている。リストに載せられると、外国企業が米の技術や製品を購入する際、米政府から特別な許可を取得しなければならない。商務省は15日に、ファーウェイとその関連企業70社を「エンティティ・リスト」に追加した。

ハイクビジョンは世界監視カメラ市場で1位のシェアを占めている。中国当局は近年、ハイクビジョンなどの監視カメラや人工知能(AI)技術を駆使して、国民および新疆ウイグル自治区やチベットなどの少数民族の住民への監視を強めている。

国家安全上の脅威から、トランプ政権は中国企業に厳しい視線を向けている。

米国土安全省が20日に発表した報告書で、中国製ドローンが収集した映像データに中国当局がアクセスする可能性があると警告した。中国ドローン生産大手、大疆創新科技有限公司(DJI)が念頭にあるものとみられる。米国とカナダで販売されているドローンの8割がDJIが製造したものだという。

チャック・シューマー米上院院内総務(民主党)は19日、商務省に対して、ニューヨーク市の地下鉄(MTA)に中国国有鉄道車両メーカー、中国中車(CRRC)が設計した車両を使用する可能性をめぐって、国家安全保障への脅威があるとして調査するよう求めた。

米連邦通信委員会(FCC)は9日、中国国有通信事業大手、中国移動(チャイナ・モバイル)の米市場参入申請を却下した。

米IT大手グーグルが19日、ファーウェイへのソフトウェアと一部サービスの提供を停止すると発表した。また、スマホ向け顔認証部品を手掛ける米ルメンタム・ホールディングスも20日、ファーウェイへの部品の供給停止を決めた。

日本のソフトバンクとKDDIは22日、ファーウェイ製スマホ「P30 lite」の販売延期を発表した。

中国人学者の李京氏は21日、米ラジオ・オブ・アメリカ(RFA)に対して、米政府は中国企業を全面的に封じ込めようとしているとした。「米政府から見れば、国営か民営かに関わらず、中国企業は皆、中国当局に支配されている」

李京氏は、中国は米社会では、競争相手またはルールを順守しない国として広く認識されていると指摘した。

一部の米メディアが、米政府の強硬姿勢に対して、中国当局が報復措置として、米アップル社に制裁に乗り出す可能性があるとの見解を示している。しかし、李京氏は、その可能性は低いとみている。米アップル社の多くの製品は中国国内の工場で組み立てられており、従業員はおよそ10万人いると言われている。このため、「中国当局が適切に対応しなければ、失業者が急増し、社会不安が一段と拡大する」

李氏は、中国の景気が急速に悪化しており、当局が最も不安視しているのは米中通商摩擦ではなく、政権崩壊に繋がりかねない失業者の急拡大だとした。

(翻訳編集・張哲)

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