中国DJI、米国内でドローン製造を計画 米議会で懸念の声も
[ワシントン 24日 ロイター] – 民生用ドローン(小型無人機)の世界最大手である中国DJIは24日、米カリフォルニア州にある同社の倉庫でドローン製造を開始する計画を明らかにした。ただ、米議会の一部では中国製ドローンについて懸念の声が上がっている。
DJIは、同社製のドローンについて米国内製造分の価値が米通商協定法の適用対象と米税関・国境警備局によって認定され次第、カリフォルニア州でドローン「マビック2エンタープライズ」の組立生産を行うとの見通しを示した。この認定によって一部の米政府機関が同社製ドローンを購入することが容易になると説明した。
DJIは「新たな投資を通じて米国での足場を拡大することで、顧客により良い形で製品を提供し、米国で雇用を創出し、米国のドローン業界を強化できる」と期待を示した。
ただ、同社は上院の商務小委員会で前週行われた公聴会で一部議員や安全保障の専門家に批判を受けている。
共和党のリック・スコット議員は公聴会で、議会が中国製ドローンの国内販売を法的に禁止すべきかどうかという問題を提起。「中国と取引をするのは異常なことだ。われわれはできる限り米国製品を購入すべきだ。中国はわれわれの友人ではない」と述べた。
トランプ大統領は今月10日付の大統領覚書で「小型無人航空機システムの国内生産能力は国家防衛に必要不可欠」と表明している。
米国防大学のハリー・ウィンゴ氏は公聴会で、米国はDJIに「過剰依存」していると指摘。同社の世界市場でのシェアは70%を超えている可能性があるとした。
米国土安全保障省は前月、米企業に対し、中国製ドローンによる企業データへのリスクについて警告している。
ただ、米国では多くの米政府機関がDJI製のドローンを使用している。
DJIは24日に上院の商務小委に出した書簡で「公聴会で提示された根拠のない憶測や不正確な情報が検証されないままとなれば、米ドローン業界全体をリスクにさらすことになると深く懸念している。影響が波及すれば経済成長を阻害し、国民を守り人命を救うためにDJI製ドローンを使う公務員が身動きが取れなくなってしまう」と警告した。