ポカリスエット香港法人、デモ批判のテレビ局でCM放送を中止
大塚ホールディングスの香港法人はこのほど、香港テレビ局、無線電視(TVB)が放送する同社スポーツ飲料「ポカリスエット(中国語は宝砿力水特)」のコマーシャル(CM)を取りやめることを決定した。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)が10日報じた。
香港では、6月から中国本土への容疑者移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案をめぐる一連の大規模な抗議デモが行われた。TVBはデモを批判する報道を流し、中国当局寄りの姿勢を示している。これに不満を募らせた市民が、視聴のボイコットを呼びかける一方で、スポンサーに対して、ソーシャルメディアや電子メールを通じて、TVBでのCMを打ち切るよう求めた。
香港人ネットユーザーが9日、大塚ホールディングス香港法人がフェイスブックを通した返信を転載した。これによると、同社は先週、TVBでのCM放送を中止すると決めたが、「手続き完了までに2週間かかる」という。
ネットユーザーらは、「スーパーでポカリスエットを大量に購入するから」と同社の決定を支持している。
香港浸会大学ジャーナリズム学科で教鞭を執る呂秉権氏は、RFAに対して、香港メディアは近年、中国当局寄りと民主派寄りの両極化が進んでいると述べた。
「数年前の雨傘運動で、中国当局は広告業界に対して、民主派寄りの『蘋果日報』などに広告を掲載しないようにと命令した。今回、香港市民が企業に対してTVBでCMを流さないようにと呼び掛けたのは、中国当局の手法をまねしたのだろう」
中国共産党機関紙・人民日報傘下の「環球時報」電子版10日付によると、大塚ホールディングスは声明を発表し、CM放送の中止は香港の現地法人がビジネス上の理由で決めたが、政治的な意図はないと強調した。環球時報は報道で、「ポカリスエット、中国から出ていけ」という国内ネットユーザーの書き込みを紹介し、不買運動を示唆した。
一方、呂秉権氏は、中国当局が国内で「ポカリスエット」のボイコットを主導しても、影響は限定的だとの見方を示した。「過去に中国当局があおった外国製品への不買運動を見ても、ハイクオリティの製品は人気が不動であることが分かる。国内消費者は品質を最も重視しているからだ」
(翻訳編集・張哲)