7月21日夜、幹線道路を占拠する抗議者の強制排除に乗り出した香港の警官隊(余剛/大紀元)

中国国防省、駐留軍の出動を示唆 香港市民をけん制か

香港情勢が緊迫する中、中国国防省の呉謙報道官は24日の記者会見で、香港政府の要請があれば、中国軍の香港駐留部隊出動することが可能だと示唆した。1989年6月、中国当局が民主化を求める学生を武力鎮圧した、いわゆる天安門事件が再び香港で起きるのかとの懸念が広がっている。

国防省が同日、2019年国防白書の発表で記者会見を行った。会見で、香港メディアの記者が、最近の香港情勢をめぐって、「国防省はどんな対応策があるのか」と尋ねた。同記者は、「逃亡犯条例改正案の完全撤回を求めて抗議デモに参加した香港市民について、「香港独立勢力」と表現した。

呉報道官は「この問題について、中国の駐軍法第3章第14条に明確な規定がある」と答え、条文の具体的な内容に触れなかった。

同条文では、香港特別行政区政府が、災害の救助や社会の治安維持が必要な場合、中国軍の香港駐留部隊に対して、出動を要請することができると定めている。

海外メディアの間では、駐香港の中国軍が今後「社会治安維持」の名目で、香港抗議者を鎮圧する可能性があるとの見方が広がっている。

21日に行われた大規模な抗議デモでは、一部の抗議者は中国当局の出先機関である「中央政府駐香港連絡弁公室(中連弁)」の壁に、スプレーで「改正案反対」などのスローガンや中国共産党政権を批判する文言を吹き付けた。中国国章も黒いペンキで汚された。中国共産党機関紙・人民日報などの政府系メディアは連日、香港抗議者を痛烈に非難している。

大紀元のコメンテーター・石実氏は、「高度の自治と司法の独立を求める香港市民を『独立勢力』と呼んだ香港記者の質問から、香港メディアがほぼ中国当局に支配されたと分かる」と指摘した。

同氏はまた、中国当局が香港駐留部隊を投入し武力鎮圧する可能性は低いとの見方を示した。「武力鎮圧をすれば、米英などの西側諸国は必ず制裁を加える。香港は世界金融センターとしての地位を失う。中国当局は今、香港市民をけん制するために軍の出動をほのめかした」

ハント英外相はこれまで複数回、香港の自由を保障した「中英共同声明」を順守しなければ、「深刻な結果を招く」と警告した。

ペロシ米下院議長は6月、中国当局が「法を踏みにじっており、香港市民の自由を抑圧しようとしている」と批判した。また、米国が香港に付与する貿易上の特権的待遇を見直すとの見方も出ている。

一部の米上院議員は6月、中国本土とは別に香港に与えている「独立関税地域」資格を撤回する「米・香港政策再評価法(US-Hong Kong Policy Reevaluation Act of 2019)」草案を議会に提出した。

ロイター通信9日付によると、中国軍の香港駐留部隊司令官、陳道祥少将は6月13日、駐留部隊の本部を表敬訪問した米国防省のデビット・へルビー第一国防次席次官補(インド太平洋安全保障担当)に対して、駐留部隊は香港問題に干渉しないと明言した。

一方、中国陸軍第74集団軍は22日、中国版ツイッター微博の公式アカウント「鉄鋼先鋒号」を通じて、香港に近い広東省湛江市で「テロ事件」を想定した軍事演習を行ったと発表した。

(翻訳編集・張哲)

 

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