「しゃべる」ご飯粒が少女に伝えたいこと「食べ物を粗末にしないで」
賢明な教えでは読者のみなさんにとって有益な教訓をご紹介しています。どうぞこの物語をお楽しみください。
動物の鳴き声には慣れている私たちも、野菜や植物が音を発することができるのかどうかは普段考えもしません。けれどもし彼らの話を聞くことができるなら、彼らは私たちに何を伝えようとするでしょうか。
これは食事中の少女がテーブルの上にこぼしてしまったご飯粒の物語です。もしもこのおかしな会話がなかったら、彼女はご飯粒を捨ててしまっていたでしょう。
少女の名前はデュオデュオといいます。デュオデュオが食事を終えてお母さんのお手伝いをしていると、誰かの泣き声が聞こえてきました。その泣き声はテーブルの上のご飯粒から聞こえているようでした。
ご飯粒が大声で泣いているなんて、デュオデュオは不思議に思いました。
「どうして泣いているの?」困惑した少女は尋ねました。
「なぜって、あなたが私をお茶碗からこぼしてテーブルにほったらかしにしたからよ!」とご飯粒ちゃんは答えました。「とても苦労してここまでたどり着いたのに私を捨てるなんて、一体どうしたら良いの!」
デュオデュオはびっくりして、ご飯粒をこぼしたのは今日が初めてではないこと、ほかのご飯粒は何も言ってこなかったことをご飯粒ちゃんに伝えました。
これを聞いたご飯粒ちゃんはとても悲しい気持ちになりました。
「どうしたら毎日毎日ご飯粒をこぼすの?私たちが水田にいたとき太陽は言ったわ。がんばって大きくなればいつか立派なご飯粒になれるって」傷ついたご飯粒ちゃんはそう振り返りました。
そしてたくさんの姉妹たちが立派なご飯粒になりたいと夢見ていたことを話しました。けれど姉妹たちはみんなスズメや虫たちに食べられてしまいました。幸運なことに、ご飯粒ちゃんは天敵から逃れて立派に成長することができました。
水田を去る前に太陽が米粒たちに言いました。あなたたちの任務は人間たちに食べてもらい生きる活力にしてもらうことだと。これを聞いた米粒たちは自分たちを誇りに思い立派なご飯粒になりたいと願いました。
しかしそのほとんどの米粒たちはデュオデュオの家にたどり着くことができませんでした。
米粒たちが収穫され脱穀機にかけられると、いくつかの米粒たちは地面に落ちて人々の靴の下敷きになってしまいました。幸運にもご飯粒ちゃんはおじいさんに拾われて旅に出ることができ、最終的にはデュオデュオの家までたどり着くことができました。
デュオデュオは米粒たちの旅の話を聞いて驚きました。
「私は立派なご飯粒になるために幾多の困難を乗り越えてここまで来た。せっかく人間の食卓にたどり着いたのに捨てられてしまうなんて。私、ごみにはなりたくない…」そう言ってご飯粒ちゃんは泣き出してしまいました。
これを聞いたデュオデュオは、ご飯粒ちゃんにひどいことをしてしまったと気がつきました。そして彼女はいつもお母さんがご飯の食べ残しを叱ってくれていたこと、食べ物を粗末にしてはいけないと教えられたことを思い出しました。
「もう泣かないで!私があなたを立派なご飯粒にしてあげる!」彼女はそう言ってご飯粒ちゃんを拾い上げパクッと食べました。
デュオデュオがご飯粒ちゃんを食べ終えると、お腹の中から笑い声が聞こえてきました。ご飯粒ちゃんは米粒の任務をやり遂げることができたのです。
「ねぇみんな!私来たよ!私もみんなと同じ立派なご飯粒になれたんだよ!」ご飯粒ちゃんは姉妹たちに知らせました。
これは食べ物の大切さを教える単なる物語でしたが、私たちは実際に食べ物の無駄を減らす努力をしなければなりません。国際連合食糧農業機関によると食品廃棄は世界中で大きな問題になっており、毎年約13億トンもの食物が捨てられているそうです。
この物語が食品廃棄について考えるきっかけになることを願うばかりです。
(大紀元日本ウェブ編集部)