米中の次官級通商協議終了、中国の米農家視察中止で合意期待薄れる

[ワシントン/シカゴ 20日 ロイター] – 米国で20日、中国の代表団が翌週に予定していた米モンタナ州とネブラスカ州の農家への視察を急きょ中止したことが明らかになり、米中通商合意への期待が薄れた。

米中の高官らはこの日、ワシントンで2日間行われた次官級通商協議を終えた。

2州の農業団体によると、中国の代表団は当初の予定よりも早く帰国するため、視察を中止したという。

中国大使館と米農務省は、コメント要請に応じていない。

今回の通商協議が始まる前には、中国による米農産品購入や中国の市場アクセス改善などに関連した「暫定合意」が検討されているとの報道が伝わった。[nL3N2633Y1]

農家視察は中国による米国産大豆と豚肉の購入拡大につながるとの見方もあったことから、視察中止は米中交渉への期待に水を差す格好となり、米国株は下落した。

米通商代表部(USTR)は20日、米企業の要請に応じ、CGプロセッサや床材など437項目の中国製品への関税を免除した。

USTRは、中国側との2日間の次官級協議について「生産的だった」とし、閣僚級による通商協議は、予定通り10月にワシントンで行うとする短い声明を出した。

中国商務省も、米国との協議は「建設的」で、10月のハイレベル会合に向けた「詳細」について、良い話し合いができたと表明。「双方は、関連する事項について連絡を取り続けることで合意した」としたが、詳細には触れなかった。

今回の米中協議に詳しい関係筋によると、中国側は知的財産権や強制的な技術移転、産業への補助金、その他の貿易障壁などの構造的問題に関する新たな提案を示さなかったもよう。

この関係筋を含む複数の関係筋によると、次官級協議の中国代表を務めた廖岷(りょう・びん)財政次官は、いかなる合意も米国による関税の全廃が盛り込まれる必要があり、中国側だけが譲歩することのないよう、バランスのとれた内容である必要がある、とする中国政府の要求を示したという。

 

<「完全な合意」>

トランプ米大統領は20日、中国との「完全な」通商合意を望んでおり、中国による米農産品購入だけでは制裁関税を廃止するには不十分との考えを明らかにした。

トランプ大統領は、訪米中のオーストラリアのモリソン首相との共同会見で「米国は完全な形での合意を求めており、部分的な合意ではない」と発言。「中国は先週、米農産物の購入を再開し、購入規模は非常に大きい。しかし、私が求めているのはより大きな合意だ」と語った。

また、来年の米大統領選前に合意が成立する必要はないとも述べた。

モリソン首相は、米中による通商合意の実現によって、世界経済を巡る不透明性が解消されるとコメントした。

共同会見に先立ち、トランプ大統領は中国との通商交渉で「多くの進展が見られる」と語っていた。また、対中制裁関税に絡み、米国は数十億ドルを得たとし、いずれ1000億ドルに達するとの見通しを示した。

関係筋によると、米国は中国に対し、大豆など米農産品の輸入の大幅拡大を求めているもよう。

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