米MIT、中国AI企業とのパートナーシップを見直しへ 輸出規制リスト入りで

米国商務省による輸出規制は、中国ハイテク企業に影響を与えている。米マサチューセッツ工科大学は、中国の人工知能のベンチャー企業・商湯科技(SenseTime)とのパートナーシップを見直すと発表した。同企業は10月7日に公開された、中国28の輸出規制対象の組織リストに載っている。

ブルームバーグによると、マサチューセッツ工科大学(MIT)の広報担当者は電子メールで、大学には厳格な輸出管理メカニズムがあり、コンプライアンスに細心の注意を払っているとした。「MITは、米国商務省のエンティティリスト(輸出規制対象)としてリストされている組織とのすべての関係を見直し、必要に応じて対応を調整する」と示した。

商湯科技は、米国政府からブラックリストに登録された後、「米国商務省の決定に対して失望を表明する」とした声明を発表した。同社は2018年、電子商取引大手アリババから8億ドル、ソフトバンク・チャイナ・ベンチャー・キャピタルより10億ドルを調達していた。

商湯科技の創業者の1人は、MITを卒業した湯曉鷗氏。湯氏は水中ロボット工学とコンピューター・ビジョンを専門とし、1996年に博士号を取得した。

香港を拠点とする商湯科技は、世界で最も価値のあるAIスタートアップ企業とみなされている。MITは2018年、商湯科技が学校の新しいプログラムである「MITインテリジェンス・イニシアチブ」に参加する最初の企業と発表した。大学によると、この計画は、「すべての人類に役立つ人間と人工知能(AI)の研究を促進することを目指す」もの。大学は同年、商湯科技との提携計画は27件のプロジェクトに投資する予定だと発表した。

米国は10月7日、商湯科技やAI監視カメラ大手・杭州海康科技(Hikvision)などの企業を含む、中国の20の公安部門と8つの中国のハイテク企業をエンティティリストに入れた。

米国商務省は、一連の組織は、中国のウイグル族、カザフ族などの少数民族を大規模で恣意的に拘禁し、ハイテク技術を利用して人権侵害に関与したと述べた。

エンティティリストに載る企業は、米国企業から部品や技術を購入する際、米政府から許可を得る必要がある。承認が下りる場合はごくわずかで、実質的な取引禁止措置とみなされている。

中国の人工知能、機械学習、顔認証を含むハイテク技術製品を作る企業は、米国の部品供給に依存している。

ブルームバーグ通信の情報によると、マサチューセッツ工科大学は以前、すでにエンティティリスト入りした曠視科技(Megvii Technology)とも共同プロジェクトを提携していた。

マサチューセッツ工科大学は2019年はじめ、中国の通信機器大手ファーウェイと中興通訊(ZTE)との協力関係を打ち切った。米トランプ政権は、両社は中国共産党の体制維持の手足となり、党の国際的な影響拡大の役割を担っているとみなしている。

(翻訳編集・佐渡道世)

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