2017年11月、中国を訪問したトランプ米大統領(Photo by Thomas Peter-Pool/Getty Images)

中国、外資規制を一部緩和 外資引き止めに躍起

中国当局は10月に入って、外資企業に対する規制緩和や知的財産権保護強化の方針を明確にした。海外企業の中国撤退を回避する一環だとの見方がある。

中国国務院は16日の会議で、外資金融機関や証券企業などの事業範囲拡大に関する規制を全面的に撤廃すると示した。李克強首相は15日、「外資保険企業」と「外資銀行」への市場開放関連条例に署名し、「外資銀行に求める総資産の下限を撤廃する」と述べた。

李首相は14日、陝西省西安市にある韓国サムスン電子の半導体生産工場を訪問した際、「中国は国有企業と外資企業に平等な対応をする」と強調した。仏エアバスなどの海外製造業大手の幹部との会談で、李首相は「中国は世界の製造業にとって、なくてはならない部分だ」と強調した。

国務院は29日に開いた記者会見で、知的財産権の保護をより強化していくとの方針を示した。国務院知的財産権局保護司の張志成司長は、中国に進出している米企業のイノベーションや技術情報を一段と守っていくとした。「立法においては、知的財産権侵害に関する懲罰的損害賠償制度を完全化する」という。

今までの米中通商協議に参加してきた中国商務省の王受文次官は、中国当局者による外国人投資家、外資企業に対する技術移転の強要を禁じると話した。また「今後、オープンで、透明性のある、予測可能な外資投資環境を作ることを中心に、中国の対外開放や投資の便利性を深化する」と言った。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は27日の報道で、国内景気が著しく後退している中で、中国側は外資規制緩和を通して、懸命に外資企業を中国にとどまらせようとしていると指摘した。

一方で、外資企業が中国で事業展開を行う際、中国企業との合弁会社を設置しなければならないという従来の規定は変わっていない。一部の米企業は、同規定により、中国当局は依然として技術移転を求めることができるとの認識を示した。

米中双方は10月11日に行われた通商協議で、知的財産権問題や、中国の金融サービス・セクターの開放、中国側による大規模な農産物購入などについて口頭で合意した。米政府は15日に予定していた2500億ドル相当の中国製品への関税引き上げを見送った。

(翻訳編集・張哲)

関連記事
「孔子学院?新華社?こんなものはもう退屈だろう。中国が本当に世界的なソフトパワー拡大には、モバイルゲームに焦点を当てるべきだ」中国国内メディアは最近、100億米ドル規模に達している中国ゲームの影響力の高まりに自信を見せている。当局は、ゲームコンテンツを通じて中国文化の浸透工作や、親共産主義人物の人気獲得を促進したりしている。
日本料理の「五味五色」が生む健康の秘密。陰陽五行に基づく養生観が、日本人の長寿とバランスの取れた食文化を支えています。
2023年5月25日に掲載した記事を再掲載 若者を中心に検挙者数が急増する「大麻」(マリファナ)。近日、カナダ […]
中国共産党が7月に反スパイ法を改正し、邦人の拘束が相次ぐなか、外務省が発表する渡航危険レベルは「ゼロ」のままだ。外交関係者は邦人の安全をどのように見ているのか。長年中国に携わってきたベテランの元外交官から話を伺った。
日中戦争の勝利は中華民国の歴史的功績であるが、これは連合国の支援を受けた辛勝であった。中華民国は単独で日本に勝利したのではなく、第二次世界大戦における連合国の一員として戦ったのである。このため、ソ連は中国で大きな利益を得、中共を支援して成長させた。これが1949年の中共建国の基礎となった。