米中の「第1段階」通商合意、中国の関税撤廃要求で内容拡大も

[ワシントン 19日 ロイター] – 米中の「第1段階」の通商合意は、金融市場を落ち着かせるとともに、両国首脳が容易に勝利を主張できるようにする限定的な合意になるはずだったが、事情に詳しい関係者によると、トランプ米大統領が中国の関税撤廃要求を受け入れる場合、より包括的な内容になる可能性があるという。

中国商務省は今月、双方が貿易戦争の過程で発動した追加関税の撤廃が合意の重要な条件だとの見解を示した。[nL4N27U2FX]

これを受け、米当局者の間では、米農産物の購入拡大や、一段の金融サービスセクター開放を約束するなどといった米国側の要求が関税撤廃に値するほど十分かどうか疑問が浮上。通商協議に関して説明を受けた2人の人物によると、トランプ大統領は既存の関税の撤廃や12月15日に予定される関税導入の取りやめには中国側の一段の譲歩が必要との判断を下したという。

米当局者と意見交換しているアメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の中国専門家、デレク・シザーズ氏は「大統領は中国とより規模の大きい合意を望んでいる」と語った。

トランプ氏が関税撤廃に合意するかどうかは、大統領再選に向け有利に働くと同氏が考えるかどうか次第だという。

また協議の説明を受けた別の人物によると、トランプ氏とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、知的財産権や技術移転といった核心問題に対応しない通商合意で、関税撤廃という大きな譲歩を行うのはトランプ氏にとって望ましくないと認識したという。

トランプ氏は19日、中国は「私が気に入る」ディール(取引)を行う必要があるとし、「われわれが中国とディールを行えなければ、単に関税を一段と引き上げるだけだ」と述べた。[nL3N27Z3YR]

「第1段階」の通商合意は当初10月の発表から数週間で署名にこぎ着けるとみられていたが、来年に持ち越される可能性があると専門家は指摘している。

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