トランプ米大統領は20日、米中通商協議をめぐって「中国がディールをしたがっているが、問題は私がディールを行いたいかどうかだ」と発言。写真は11月8日撮影(SAUL LOEB/AFP/Getty Images)

米中通商「第1段階」合意が難航か、トランプ氏「ディールするかは決めていない」

トランプ米大統領がこのほど、米中通商協議の「第1段階」の合意について消極的な姿勢を示した。ロイター通信などは、年内の合意は難しく、双方の交渉が来年にずれ込む可能性だとの見解を示した。

トランプ大統領は11月19日、「中国は私が望むような形で取引せざるをえなくなる」「もし中国と合意に達しなければ関税をさらに引き上げる」と述べた。

20日、大統領は記者団に対して、米国は引き続き中国側と交渉しており、「中国はディールをしたがっているが、問題は私がディールを行いたいかどうかだ。なぜなら、私は今起きていることに満足している。われわれは数十億ドル規模の(関税)収入を得ているからだ」と話し、米経済は好調であると強調した。

米中両国は10月上旬に開催された貿易交渉において、口頭で「第1段階」の合意をした。当初、11月に米中首脳が合意文書に署名するとの見通しだった。ロイター通信20日付は、情報筋の話として、第1段階の合意は来年に延期されると報じた。

報道によると、中国側は合意条件として、米政府に関税撤廃拡大を要求している。その一方で、米政府は、さらなる関税引き上げの中止の見返りに、中国当局により大きな譲歩をするよう求めている。

米政府は12月15日に、約1560億ドル相当の中国製品への追加関税を実施する予定。

ロイター通信は、米上院で19日、香港の高度な自治や人権を擁護する「香港人権・民主主義法案」が可決したことも、米中貿易交渉が難航している一因だと指摘した。

ペンス米副大統領は19日、中国当局が香港市民の抗議活動を暴力で鎮圧した場合、中国との貿易合意は難しくなると述べた。

野村総合研究所チーフエコノミストのリチャード・クー氏は米CNBCに対して、米中両国の経済指標を比較し、中国経済が「著しく失速している」「貿易戦は、米経済よりも中国経済に大きな打撃を与えている」と指摘した。クー氏は、景気悪化の圧力から、「中国側が早期に貿易合意を図りたいはずだ」との見方を示した。

CNBC中国支局長のユーニス・ユン氏は18日、「中国当局者から得た情報では、中国側は今、米と交渉を続けながら、トランプ大統領の弾劾調査と来年の米大統領選挙の結果を待つという戦略をとっている」とツイッターに投稿した。

(翻訳編集・張哲)

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