中国外交官、ツイッターやフェイスブックに相次ぎ参加 海外世論操作を強化
中国外務省報道官・耿爽氏は1月13日、定例記者会見で、多くの中国大使館と領事館、中国の外交官は海外のソーシャルメディアアカウントを開設したと報告した。「他国の外交官と同じように、ツイッターなどのいくつかのSNSアカウントを開設した。外部とのコミュニケーションを改善し、中国の状況と政策をより良く紹介していく」と述べた。
ツイッターやフェイスブックは中国国内では利用不可能となっている。
英BBCは昨年12月、「中国当局の発信力がツイッターで強まっている」と報じ、ここ数年で中国の外交官、大使館、領事館のアカウントが55個あるが、そのうちの32個は2019年に作成されたとした。
同報道は、当局を含め中国ネット世論操作者に共通性があるという。ユーザーが香港、新疆ウイグル、チベット、人権問題を取り上げると「中国内政への干渉」と激しく抗議する。また、「中国が世界覇権を狙う」というストーリーには「根拠のない邪悪に満ちた意図がある」と批判する。単に「13億人の中国人の感情を傷つけた」と非難する場合もある。
香港理工大学コミュニケーション学のローズ・ルウェイ・ルチュウ(Rose Luwei Luqiu)助教授はBBCに対して、今後、中国共産党政府によるSNSを使った外交戦略が説教的になるとの見方を示した。
中国外交部の越立堅・副報道局長は、プロフィールに「中国の良い話を伝え、中国の声を拡散する」とある。中国企業の華為技術や高速鉄道など中国技術の成果を称賛している一方、批判的な他者のツイートに対して「汚い嘘」「西側の宣伝」などと断じて糾弾している。
駐米中国大使・崔天凱氏は、中国国営メディアCGTNにツイートして、「香港、新疆、チベットはすべて中国領土だ。これらは中国の内政であり、いかなる干渉も中国の主権を攻撃するものだ」と書いている。
中国は世界で最も世論操作に力を入れる国のひとつであると報告されている。英オックスフォード大学が2019年9月に発表した、世界のネット世論操作に関する研究報告によると、国家レベルでもっとも高度な世論操作を行っている国は中国であり、社会主義思想を「中国の夢」とし、「良いストーリー」として世界に拡散している。数百万人のネット世論操作者がいるとした。
ネットメディア・寒冬は2018年12月、黒龍江省当局の内部文書を報道した。ネット世論誘導の強化を掲げ、「やり取りがうまく、専門知識を持ち、議論に勝てるサイバー軍隊を結成する」などと記されている。
こうした対外宣伝は活発なものの、国内の情報統制は一層厳しさを増している。中国当局は一般の国内ネットユーザーに対して、微信(WeChat)や微博(Weibo)など国産SNSのみを許可し、海外SNSは検閲を突破する仮想プライベートネットワーク(VPN)を使わない限り、アクセスすることはできない。国産SNSでは実名など個人情報の登録が義務化され、投稿は常に監視され、当局に都合の悪いメッセージを発したユーザーは、ネット警察の警告を受けて、逮捕に至る場合もある。
AP通信は、香港の民主派デモはSNSを通じて組織され、情報交流が行われているため、中国当局がインターネット空間の言論およびVPNを含む情報管理を一層強化しようとしていると伝えた。
(翻訳編集・佐渡道世)