写真は2020年1月26日北京市天安門の前で撮影(Betsy Joles/Getty Images)
写真は2020年1月26日北京市天安門の前で撮影(Betsy Joles/Getty Images)

<新型肺炎>武漢市民、高まる不満「地球にこんな政府があるのか」「共産党、下野しなさい」

新型コロナウイルスによる肺炎は発生から、まもなく1カ月が経とうとしているが、感染が拡大する一方、収束の兆しを見せていない。中国国内では、当局の初動とその後の対応に不満が噴出している。

中国国内から批判の声が高まる

中国旧正月にあたる1月25日、武漢市民とみられる男性がYouTubeに動画を投稿し、中国当局が当初から新型肺炎のまん延を隠ぺいしたと批判した。

男性は、道路が封鎖された後の武漢市の現在の様子について、「地獄のようだ」と窮状を訴えた。

「移動手段もなく病院は大混雑。感染して病院に行っても適切な治療を受けられず、死を待つのみだ」

「症状があっても、検査キットが足りないので、自主隔離を言い渡される。ふざけんな!!地球にこれほどおかしな国があるのか?0・1%の可能性でも検査するでしょ。政府が感染を拡大させているじゃないか」

「人間が生きていくため、時には嘘もつく。しかし、ただ今は良心に従い、真実を伝えたい。今の武漢はまるで地獄のようだ」

「私のような2、30代の人はみな、洗脳が解けた。中国政府の本質を知り尽くした。しかし、私たちの声は外に届かない。力もない、銃や戦車にも勝てない私たちは自分の声をあげることができない。この動画を見た全ての人、ぜひわれわれを助けてください」と呼びかけた。

ほかに、共産党政権を痛烈に糾弾する武漢の女性の動画も転載されている。

女性は、「共産党はいつ崩壊するのか?(当局が)2020年に小康レベル(少しゆとりのある生活水準に達すること)を約束したのではないか。何を得たのかを見てみなさいよ。親戚はみんな(新型肺炎で)死んでしまった」

「お願いだから、下野しなさい。この腐敗政府はもう要らない」と言い放った。

もう一人、新型肺炎に感染した武漢在住の男性はもし治ったら、「一帯一路、台湾統一なんてもう関心を払わない。市民の死活を顧みないこの政府と国を愛することができない」とSNSに投稿した。

「愛国」的だった男性にも変化が 「大いに失望」

「今回の新型肺炎を通して、中国共産党を見極めることができた。本当に極悪非道な連中だ。党幹部も皆、役立たずで、危機管理が全くできていないし、国民の命を軽視している」

カナダの銀行で会計士として勤務している楊帥さん(仮名、30)は1月26日、大紀元のインタビューを受けた際、こう述べた。

中国本土出身の楊さんは、国内の大学を卒業した後、アメリカとカナダの大学院に留学し、現在、カナダに在住している。

中国メディアはこのほど、王暁東・湖北省長が公の場で、新型肺炎のまん延について「非常に心を痛めている」「責任を感じている」と謝罪したと報じた。

楊さんによると、SNSの微信(ウィーチャット)のグループチャットでは、「謝罪しても何にもならない」「早く辞職しろ」「能無し」などと国内外の中国人ユーザーが王省長を強くバッシングした。

「1カ月前に武漢市で感染症例があったのに、当局は社会安定の維持のため、感染状況を隠し続けてきた。隠ぺいができなくなるまでに感染が広がったから、やっと少し公表した。それでも、嘘しか言わない。しかも、突然武漢市を封鎖した。なぜもっと早く封鎖しなかった?」

楊さんは、このような共産党政権に「大いに失望した」「本当に役立たずだ。普段は『大国』と自慢しているくせに、こういった危機が発生した時、全く何もできない」と述べた。

楊さんは最近まで中国共産党を強く支持していた。昨年6月から続く香港の抗議活動について、楊さんは、中国政府系メディアに同調し、香港の抗議者を「暴徒」「反共産党分子」と反発していた。

1月11日に行われた台湾の総統選挙に関しても、「台湾からカナダへ移民した方と言い争った」「相手を、反共産党・反中国・台湾独立分子と中傷した」という。

武漢市を中心に発生した新型肺炎の感染拡大に伴い、楊さんは中国共産党政権の本質が少しずつ分かってきたという。「SNSのグループチャットの中で、当局への不満と怒りが非常に高まっている。中国当局の幹部である両親も、当局のガバナンス能力を批判している」

「共産党は今まで間違いを認めたことがない。いつも言い訳ばかり」

「共産党の醜さを認識できた。本当に悪の塊としか言いようがない。全くの恥知らずだ」と楊さんは吐き捨てるように言った。

(記者・伊鈴、翻訳編集・張哲)

 

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