北京、新型肺炎で2週間隔離義務付け WHO専門家は週末から調査
[北京 14日 ロイター] – 中国・北京市当局は14日、新型コロナウイルス(COVID─19)の感染拡大防止に向け、旅行や帰省先から北京に戻る市民全員に14日間の隔離期間を義務付けると発表した。措置に従わなければ罰則を科すとしている。
北京日報によると、北京到着後、隔離は自宅もしくは地域の施設で行い、従わない者は「法的責任を負う」という。また、市民は北京に戻る前に旅程の提出が義務付けられる。
しかし、同措置が実際どのように実施に移されるかは現時点で不明。非居住者や中国国外から北京入りする外国人に同様の措置が取られるかについても明らかになっていない。
中国の王毅国務委員兼外相は、新型ウイルス感染拡大が中国にとって大きな試練だと認めた上で、政府の対応は適切だとし、海外の反応は過剰と言明。中国が新型ウイルス対策で最も厳格で断固とした措置を導入しているとし、「われわれの取り組みの下、感染拡大はおおむね抑制されている」と述べた。
中国保健当局は新型ウイルスによる肺炎について、13日時点で新たな感染者は5090人、新たな死者は120人超と発表。累計では感染者数が6万3851人、死者が1380人となった。
中国国営テレビによると、習近平国家主席は新型ウイルスの感染拡大を受けて明らかになったさまざまな問題点に中国共産党は対応する必要があると表明。医療保険制度のほか、主要な疾病の治療に関する制度を改善する意向を表明。バイオセキュリティーに関連する法律の早期策定を目指すことも明らかにした。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務総長はこの日、WHOが主導する専門家チームが今週末に新型コロナウイルスの調査を開始すると発表した。
同チームはWHOが中国に派遣する専門家12人と中国側の専門家12人で構成される。
テドロス事務総長は「新型コロナウイルスへの対応および中国内外における準備活動で次に取るべきステップについて、迅速に情報提供することが合同ミッションの目的だ」とし、「とりわけ、ウイルス感染経路や病気の重症度、対応措置への影響に関する理解に軸足を置く」と述べた。
中国保健当局者によると、11日時点で医療従事者1716人が新型ウイルスに感染。同状況についてもWHOの調査が進められる見通し。
新型ウイルス感染拡大による幅広い経済的影響が広がる中、中国の第1・四半期成長率は大きく減速するとみらている。
中国最大の自動車業界団体である中国汽車工業協会(CAAM)は、新型ウイルスの影響で上半期の国内自動車販売が10%以上減少すると予想した。
国連の国際民間航空機関(ICAO)は、キャンセルの増加で、世界の航空会社の売上高が今年第1・四半期に40億ドル─50億ドル減少する可能性があると試算した。
世界のクルーズ船運航会社の損失は460億ドル相当となる見通し。
横浜港に停泊しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、これまでに218人の新型ウイルス感染が確認されている。この日は高齢者ら一部乗客の下船が認められた。
また、7月から開催が予定される東京五輪(オリンピック)について、WHO緊急事態プログラム責任者のマイク・ライアン氏は国際オリンピック委員会(IOC)などと定期的に連絡を取っているとしつつも、「IOCに対し何ら提言はしない。イベントの開催もしくは中止の要請はWHOの役割ではない」と述べた。