中国、映画監督一家4人が新型肺炎で死亡 ネット警察は当初「デマ」

中国湖北電影製作所の常凱(チャン・カイ)監督(55)と両親、実姉4人が新型コロナウイルスに感染し、相次いで死亡した。一方、中国のネット警察が武漢市にある武昌医院の看護師であった実姉の死について、当初「デマ」だと否定していた。

中国メディアは2月16日、湖北電影製作所の常監督と家族が相次ぎ新型肺炎で死亡したと一斉に報道した。常監督は生前、遺書を書き残した。これによると、監督の父親が新型肺炎に感染した後、複数の病院に診察を求めたが、「ベッドがない」ため、治療を受けられなかった。父親を在宅で看病していたが、家庭内感染が発生し、2月3日に父親が、8日に母親が死亡した。常監督は2月14日未明に逝去され、姉も同日午後に死亡した。短い間に、一家4人が新型コロナウイルスで次々と他界したことは中国社会に大きな衝撃を与えた。

中国メディア「財新網」18日付によると、監督の姉、柳帆さんは武昌医院傘下地域病院に看護師として務めていた。姉弟はそれぞれ、母親の姓と父親の姓を名乗っている。

柳帆さんの死亡について、ネットユーザー「天天」が最初にネット上で発信した。同ユーザーは14日、SNSの微信で「柳帆と言う名の看護師を記憶してください。彼女は武昌医院の看護師だ。旧正月にもかかわらず、病院で医療活動に参加した。この時すでに、病院には防護服がない状況だった。結局、彼女と彼女の家族は感染して、両親が死亡した。バレンタインデーの今日、彼女も旅立った」と投稿した。

その後、この投稿が相次いで転載された。四川省綿陽市のネット警察当局は15日、中国版ツイッターの微博で、「天天」の投稿は「デマだ」と批判した。当局は「武昌医院には同名の看護師はいますが、すでに定年退職になった」「デマは、(世論誘導のため)外国勢力によってでっち上げられた」とした。

しかし、その1時間後、武昌医院は微博で、看護師の柳帆さんが新型肺炎で死亡したと発表した。59歳だった。

ネットユーザーらは、「デマを打ち消すために、偽の情報を流したのではないか」「中国当局の言う事を聞かない人は全部、外国勢力だというレッテルを貼られる」「政治目的のために、良心に背いた」と綿陽市のネット警察への糾弾を強めた。

柳帆氏の夫と娘も現在、新型コロナウイルスの感染疑いで隔離されたと報じられている。常凱監督の妻も感染し重症のため、現在集中治療室(ICU)で治療を受けている。

中国疾病予防管理センター2月11日までの調査によると、全国3019人の医療関係者が新型肺炎に感染し、または感染の疑いがある。そのうち6人が死亡したという。

(翻訳編集・張哲)

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