「アシドドのペスト」(ニコラ・プッサン/パブリックドメイン)
「アシドドのペスト」(ニコラ・プッサン/パブリックドメイン)

ローマ帝国の迫害と疫病

人々の徳が廃れた時、陰陽が乱れ、万物が凋落します。キリスト教徒を迫害したローマ帝国は、何度も疫病に見舞われました。

暴君ネロ

キリスト教徒への迫害は、皇帝ネロ(在位54-68)の時代に始まりました。

ネロは64年にローマで起きた大火の罪をキリスト教徒に負わせ、人々の憎悪をあおりました。一説によれば、自分好みの街を再建するために、ネロ自身が放火を指示したといわれています。

キリスト教徒への迫害は、残虐を極めました。彼らを円形闘技場に集め、野生動物の皮を被せて猛獣の餌食としました。また、夜には彼らを生きたまま火あぶりにし、街を照らす灯かりとしました。

その年の秋、疫病が発生し、およそ3万人が亡くなりました。3年後、ネロに対する暴動が起き、彼はローマから逃亡して自殺しました。

「キリスト教殉教者たちの最後の祈り」(ジャン=レオン・ジェローム/パブリック・ドメイン)

アントニヌスの疫病

161年に即位したマルクス・アウレリウス・アントニヌス(在位161-180)は、キリスト教徒への迫害を更に強化しました。

歴史学者は、「キリスト教徒は野獣の餌にされ、拷問を受け、監禁された。キリスト教徒に仕えていた奴隷たちは、彼らの主人が近親相姦や食人儀式を行っていると証言した」と記録しています。誹謗中傷の中で、キリスト教徒たちは弾圧されました。

166年、疫病が発生しました。この病にかかると、「激しい嘔吐で内臓が震え、血を吐き、目から火が出る。身体は衰弱し、足はふらつき、耳が遠くなり、盲目になる」と歴史家が記録しています。

当時、ローマでは毎日およそ2000人が疫病で亡くなり、一部の地域では3分の1の人口が消失しました。

キプリアンの疫病

キプリアンの疫病は250年に始まり、20年間続きました。ピーク時には一日5000人が亡くなり、ローマ帝国に打撃を与えました。疫病の正体は、天然痘、インフルエンザ、あるいはウィルス性出血熱(例:エボラ)のような伝染病だったと言われています。

疫病は、トラヤヌス・デキウス(在位249-251)が皇帝に即位して1年後に発生しました。彼は全国民に、ローマの神々に犠牲を捧げ、崇拝せよという勅令を出しました。儀式は行政官の前で行うこと、また供犠証明書の発行などが義務づけられました。偶像崇拝を拒否した多くのキリスト教徒が処刑されました。

251年、デキウスは即位後2年で戦死しました。19年後、当時のローマ皇帝クラウディウス・ゴティクスも疫病で亡くなりました。

ディオクレティアヌスの迫害

ディオクレティアヌス(在位284-303)は初期の頃、キリスト教徒に対して寛大な政策をとりました。しかし、彼は義理の息子ガレリウスにそそのかされ、迫害を始めました。教会を破壊し、聖書を焼き、財産を没収しました。これは、ローマ帝国時代において最も大規模な迫害でした。

その後、皇帝に即位したガレリウスは迫害を継続しました。

ガレリウスは後に、ぞっとするような難病にかかりました。「身体はひどく腫れあがり、性器に穴があき、そこから大量のウジがわいている。肉が腐り、吐き気のする悪臭が立ち込めた。最も忌まわしい病気である」と歴史家が記録しています。

自身の過ちを悔いたガレリウスは311年4月、迫害の停止を宣言しました。

313年、コンスタンティヌス1世のころ、ミラノ勅令が発布され、ローマ帝国における信教の自由が認められることになりました。この時点で、実に300年におよぶキリスト教への迫害が終わりました。

正教に対する迫害は、とてつもない罪業を造ります。キリスト教徒を迫害したローマ帝国は、疫病で600万人の命を失いました。現在、中国で蔓延している疫病は、法輪功迫害に対する報いなのかもしれません。

参考:明慧ネット

(大紀元日本ウェブ編集部)

 

 

 

 

 

関連記事
健康的とされる甘味料「エリスリトール」が、実は血管や脳に悪影響を及ぼすかもしれないという研究結果が発表されました。
関節炎、がん、認知症、うつ…。「治らない」とされてきた慢性疾患が、生活習慣の改善で“逆転”した症例が続々報告されています。諦めずに、希望の声を信じて。
玉ねぎは冷蔵庫に入れると逆に傷みやすい?風味を損なわず長持ちさせるには「温度・湿度・包装」が鍵。知らないと損する保存術をご紹介します。
目の疲れや体の不調に効く「行間」のツボをご紹介。高血圧やストレスを和らげ、肌の輝きも取り戻せるセルフケア法を今すぐ試して、心身のバランスを整えましょう!
唐の時代、雪に包まれた上苑で女帝・武則天の心は曇り、冷えた空気がその憂いを深めていました。彼女はその心情を詩に込め、明朝に百花を咲かせるよう命じるのでした。