(dicktay2000/Creative Commons)

逆境を乗り越える平常心

人は、困難な状態や突然の災難に見舞われると、心が乱れ平常心を失いがちになる。しかし、常に心を広く持ち寛容な状態が保たれていれば、どんな時でも、順調、逆境にかかわらず、全てを受け入れ、落ち着いて対処できる。そんな状況での話を三篇集めてみた。

2人の娘の場所

ある日のこと、イギリスに向かう客船が嵐に見舞われた。多くの乗客があわてふためく中で、一人落ち着いて神に祈るおばあさんの姿があった。嵐が過ぎ去った後、ある人が好奇心からおばあさんに「嵐は怖くなかったのですか?」と聞いた。おばあさんは、「私には2人の娘がおり、上の娘の方はすでに神に召されて天国に行き、下の娘は今イギリスに住んでいます。さっき、嵐が来た時、私は神様に祈りました。『もし、あなたが私を天国に連れて行くのなら上の娘に会いに行き、私の命を残して下さったのなら、下の娘に会いに行くでしょう』と。私はどちらに行っても一向に構わなかったので、ちっとも怖いことはありませんでした」と、静かに答えた。

小さな花

大きなマツの木の下で、いかにも弱々しい小さな花が咲いていた。小さな花は大きなマツの木に見守られていることをとても嬉しく思い、安心して過ごしていた。ある日、突然、マツの木が伐採され、なくなってしまった。小さな花は非常に悲しみ、「私を見守ってくれていたマツの木がなくなってしまった。これから私は、荒れ狂う風や激しい雨に打たれ、押しつぶされて吹き飛ばされるんだ!」と泣き叫んだ。小さな花を遠い所から眺めていたひとつの木は彼女を慰めながら、「そういうふうに悲観的に考えるものではありません。あなたはこれから、大きな木に遮られないのでお日様を一杯に体に受け、雨で十分に潤って強くなり、満開の花を咲かせて光り輝くことが出来るのです。そんなあなたを人は見て、『この小さな花は、なんて可愛くて美しいの』と褒めてくれるでしょう」と語りかけた。

神の遅延は神の拒みではない

とても波乱万丈な人生を送った人がいた。21歳の時、事業に失敗し、22歳の時に州議員選挙に落選。24歳の時、事業に再び失敗。26歳の時、最愛の恋人が他界。27歳の時、精神を病んで倒れる。34歳と36歳の時、連邦衆議員選挙に落選。45歳の時、連邦参議員選挙に落選。47歳で副大統領にノミネートされたが落選。49歳で、連邦参議員選挙に再度落選。そして52歳の時、第16代アメリカ合衆国大統領に選出された。その名はアブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln、1809年2月12日 – 1865年4月15日)。

第16代目のアメリカ合衆国大統領(1861年3月 – 1865年4月)である。彼は『神の遅延は神の拒みではない』と確信していたため、失敗してもあきらめることなく何度も立ち上がり挑戦し、最後に成功を収めることが出来た。

(翻訳編集・李頁)

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