トランプ米大統領、サウジ産原油輸入停止を検討へ 「十分にある」
[ワシントン 20日 ロイター] – トランプ米大統領は20日、原油価格の急落で打撃を受ける国内石油業界を支援するため、サウジアラビアからの原油輸入の停止を検討すると明らかにした。
大統領は記者会見で、一部の共和党議員から大統領の権限で原油輸入を停止するよう求める声が上がっていることについて質問され「検討する」と答えた。
輸入停止の提案は、会見直前に聞いたばかりだとした上で「原油が十分にあるのは確かなので、(輸入停止を)検討する」と述べた。
米WTI原油先物の期近5月物は、20日の米国時間取引で、史上初めてマイナス圏に陥り、1バレル=マイナス37.63ドルで取引を終えた。
価格の急落を受け、米石油業界では経営破綻のリスクも浮上している。
トランプ大統領は、原油価格の急落は短期的なものであり「資金不足」に由来するとの見方を示した。
一方で、石油業界は需要の落ち込みによって打撃を受けていると指摘。「世界中でほぼ誰も車を運転しておらず、工場が閉鎖され、企業が活動を停止していることが問題だ」とし、「そもそも、エネルギー、特に原油の供給は高水準だった。そうした状況で突然、40、50%の市場が失われた」と述べた。
また、石油輸出国機構(OPEC)にロシアなど非加盟産油国を加えたOPECプラスによる減産合意に言及し、価格の急落を受けて一段の減産が必要になる可能性があるとの見方を示した。
トランプ大統領は「これらの国は、市場のためにさらに行動する必要がある。米国でも同じだ。市場が現在のような状況なら、生産を減らすか停止することになる。それは自動的に起こることであり、実際にそうなっている」と述べた。
さらに戦略石油備蓄(SPR)を積み増す方針もあらためて示した。
エネルギー省は、新型コロナウイルス感染拡大による原油需要の落ち込みで在庫が増え、貯蔵施設が能力の限界にある国内石油会社に対し、SPR貯蔵施設の余力分約7700万バレルの一部を貸すための手続きを進めている。
米政権は当初、備蓄分を直接買い入れる方針だったが、議会は現時点で買い入れ資金を承認していない。
トランプ大統領は、議会の承認を引き続き望んでいるかとの質問に対し、SPR貯蔵施設の余力は、方法にかかわらず活用されると答えた。
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