分相応

友人の親戚の妻は、生まれてから自分の足のサイズに合う靴を履いたことがなく、いつも大きすぎる靴を履いて歩いていた。

 子供たちが彼女に靴のことを聞くと、彼女はいつも「大きいサイズも小さいサイズも同じ値段なら、なぜ大きいほうを買わないの?」と答えた。

 私がこの話をすると、いつも大笑いする人がいる。

 日々の生活の中でも、自分に合わない大きな靴を履きたがる人がいる。大した主義主張もない作家が、いつも暗いストーリーを書きたがる。大した才能もない画家は、いつも超大型の絵画を描きたがる。いつも家に帰らない政治家や社長が、大豪邸を持っている。

 多くの人は大きさを求めたがるが、実は貪欲な心にかられているだけである。ひたすら特大サイズの靴を捜し求めるが、自分の足の大きさを忘れているのだ。

 小さいものには小さいものの良いところがある。その良さはうまく言えないが、例えば故宮博物館の国宝「象牙球」、「翠玉白菜」、「肉形石」などの小さく精巧につくられた作品が、私たちを大いに感動させることがあるということだ。

 もちろん、どんな靴を買おうと、足に合うことが一番重要であり、何を追及しても、ほどほどにしておくべきだ。分不相応な物を手に入れても、時に周りから見れば滑稽なだけである。

林清玄

「明心ネットより転載」

 

関連記事
カビはブレインフォグやアレルギー、喘息の原因にも。身近な場所に潜む健康リスクと、その予防・除去法を専門家が解説。漂白剤の安全な使い方も紹介。
鮭の皮は食べても大丈夫? オメガ3やビタミンDが豊富で栄養価が高い一方、PCBやマイクロプラスチックなどのリスクも。専門家が語る利点と注意点。
春は「肝」の季節。目の疲れ、頭痛、だるさを感じる方に──五行に基づく「春の養肝薬膳セット」で、季節の不調をおいしく整えましょう。
大腸内視鏡検査の後、腸内環境にダメージを受けることがあると報告されています。ガス、膨満感、腸内細菌叢の乱れ…その回復を促す対策とは?
「赤ワインががんを予防する」という通説は誤りかもしれない──米ブラウン大学の大規模調査が、赤白ワインとがんリスクの関係を再検証しました。