劣等感とうぬぼれ

劣等感と謙虚さは異なるもの。劣等感はうぬぼれと密接な関係があり、その根源はほとんど同じといえます。うぬぼれの強い人は、いつも他人より優位に立とうとして見栄を張ります。威張っていて自信たっぷりに見えますが、本当のところは弱い心の持ち主なのです。優越感が満たされないと、正反対の感情に陥って、自己嫌悪や劣等感に苦しみます。一方、謙虚な人は見栄を張ることもなく、常に穏やかで控えめです。

 劣等感の強い人は、自分が人からどのように思われているかを非常に気にするので、他人の意見に左右されやすく、突拍子もないことをすることもあります。その一方で、自分で何かを決めることが苦手です。苦境におちいると、マイナスの感情からなかなか抜け出せません。するとその人の住む世界はどんどん小さくなっていき、最後には自分一人の世界に閉じこもることになります。はっきり言えば、劣等感は自分のことを考えすぎることが原因です。

 それでは、私たちは自分のことを構わないほうがよいのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。度を越すことがよくないのです。ある年配の女性の例を挙げましょう。息子と一緒に特別の催しに参加することになったこの女性は、次から次へとドレスを試着し、息子の意見を求めました。息子はいい加減に答えていましたが、ついにはこう言いました。「どれを着ても大差ないよ。たいていの人は母さんが着ているものになんて興味ないんだから」。その場に合ったドレスを選んでいるのか、他人に「素敵ね」と認めてもらいたいのか、またはうぬぼれや劣等感がドレス選定の出発点だったのか。息子のコメントには、一理ありました。

 うぬぼれも劣等感も、人格に大きな影響を及ぼします。このような心を克服するには、意識して自分より人のことを多く考えるのがベストです。本当に純粋に、人のために何かを成し遂げることができれば、その時に初めて人からの尊敬を勝ち得るのです。そのとき、私たちは自分だけの狭い世界から一歩踏み出し、自分の理念や価値観に基づいて、理性的に行動できるようになるのです。

(翻訳編集・緒川)

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