【紀元曙光】2020年5月18日
昔みたNHKドラマ『ハルとナツ 届かなかった手紙』が、筆者の印象に残っている。
▼放送は2005年10月だったと調べて分かった。戦前の昭和初期、北海道の農村から南米ブラジルへ渡った移民一家の苦難を描いたもので、ブラジルへ行った長女ハルと、眼病のため船に乗れず日本に残された次女ナツが、「届かなかった手紙」を巡って、70年の空白の時間を取り戻していく物語である。
▼ドラマを見て、日本人の、もう一つの歴史を思った。昭和大恐慌は、農村にも容赦なく襲い掛かった。昭和5年は豊作で米価が下落。翌年は一転して、東北や北海道は冷夏で大凶作となる。農村は飢餓地獄。娘の身売りなどの悲劇があふれた。
▼そうした窮乏から、ブラジルへの移民を決意した農民は少なくなかったという。見知らぬ外国で、どんな苦労も厭わない覚悟はあった。ところが、着いたコーヒー農園での労働は、想像を超えて過酷なものだった。
▼ブラジルへの移民は、明治41年(1908)の笠戸丸781人を皮切りに、戦争時の中断を経て、戦後のある時期まで続く。ただ、最も多くの苦難を克服して、ブラジル社会に輝かしい日系人の地位を築いたのは、昭和初期の移民一世の人たちだったろう。地球の向こう側の、たくましき日本人である。
▼今のブラジルを懸念している。人口2億人の大国で、中共ウイルスが爆発してしまった。森の中、無数に並ぶ土葬の穴。現職のボルソナロ大統領は、もはや手もつけられず感染対策を投げてしまった。事情は推察できるが、この世の地獄が現出するとは、かくも凄まじいものか。
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