【紀元曙光】2020年5月23日

2日ほど前のこと。拙宅に厚生労働省から「布マスク2枚」が届いた。

▼失笑してはならぬ、と自分に言い聞かせる。有難く使わせてもらうが、「それにしても」と小さな嘆息を禁じ得ない。日本にマスク狂騒曲が鳴り渡ったのは2月頃だったか。はじめは中国人観光客による爆買い、というより人を押しのけての「暴力買い」であった。

▼中国武漢で感染が爆発したから、という家族への心配もあったろう。ただ、なかには転売目的の中国人もいた。買う人間の血走った目をみると、それが分かる。仄聞するところでは、「日本のマスク市場を、買い占めで干上がらせよ」という闇の指示があったというが確認は取れない。ありそうなこと、とは思うが。

▼その直後。日本人が買おうとした時に、マスクは全くない。テレビ各局も、「お年寄りの女性が30軒ちかくの薬局を回っても買えない」などのニュースを連日流したため、余計に社会不安をあおってしまった。早朝、開店前からマスク買いに並ぶ高齢者。「それが3密になっている。日本政府、至急なんとかしろ」の大合唱になった。

▼小欄の筆者は、アベノマスクと揶揄する気にはならない。たかがマスクで、小規模ながらパニックを起こした国民の側も、幾分の反省すべき点があろう。甲府市の女子中学生が、優しさあふれる手作りマスクを寄贈したニュースに、どれほど救われたことか。買わなくても、マスクは作れるのだ。

▼かく言う筆者も、ハンドタオルを折って作ってみた。不格好だが使える。医療現場のマスクこそ最優先。私たちの「新しい日常」は始まったばかりだ。

関連記事
内なる不満を見つめ、愛を与える方法を通じて、心の癒しと新たな可能性を見出すヒントをご紹介します。
最新研究が脳損傷患者の意識の可能性を示し、医療や家族の対応に新たな光を当てます。
GoogleのAI「Gemini」が大学院生に不適切な発言をし、AI技術のリスクが改めて問題視された。企業の責任が問われる中、AIの安全性や倫理が注目されている。類似の事例も増え、技術の普及とリスクのバランスが課題となっている
健康な心血管を保つための食事、指圧、運動の実践方法を解説。心臓病予防のヒントが満載です!
専門医が語る乳がんリスクの主な要因と予防のポイントを解説。生活習慣の見直しで健康を守りましょう。